ニルヴァーナがロックの殿堂入り、式典後にシークレット・ライブ開催

ロックの殿堂入り式典が現地時間10日、米ニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターにて開催され、ニルヴァーナ、キッス、リンダ・リンシュタット、ホール・アンド・オーツ、キャット・スティーヴンス、ピーター・ガブリエルが殿堂入りを果たした。

5時間以上にわたって行われた式典では、キッスの殿堂入りスピーチをレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリスト、トム・モレロが、ホール・アンド・オーツの殿堂入りスピーチをザ・ルーツのクエストラヴが、ピーター・ガブリエルの殿堂入りスピーチをコールドプレイのクリス・マーティンが務めた。

また、ブルース・スプリングスティーンが、1999年に殿堂入りを果たし、今回はその功績を称えて賞を授与された自身のバックバンド、Eストリート・バンドに賛辞を贈った。

ニルヴァーナの殿堂入りスピーチを担当したR.E.M.のシンガー、マイケル・スタイプは、「あの声、あの声だ。カート、僕らは君が恋しい。僕は君に会いたい」と述べた。

「ニルヴァーナはアウトサイダーのための時間、そしてムーブメントを明確にしてくれた。ゲイや太った娘、心に傷を負った子や、シャイなオタク、ゴス・キッズなどのためのね」

スタイプは授賞式前にバックステージで報道陣の取材に応じ、カートと初めて会った時のことを振り返っていた。

「彼は遅刻してきたんだ。あれはシアトルのクリスの地下室での出来事だった。カートとコートニーは僕の元ギタリスト、ピーター・バックの隣に引越してきたばかりだった。初めて彼の目を見た時、僕は“なるほど。彼はすごい人だな。とても特別な人だ”って思ったよ」と述べ、にっこりと微笑むと、「彼は本当に青い目をしていた」と加えた。

ニルヴァーナのクリス・ノヴォセリックは受賞スピーチの中で、「カート・コバーン、君にありがとうと言いたいです」と感謝の意を述べた。

「カートが今夜ここに居られたら良かったと思います。あの音楽はたくさんの人たちにとって、ものすごく大きな意味を持っているのです」

カートの妻コートニー・ラヴやコバーン家の遺族も登壇し、故人に代わって受賞した。コートニーは、「これ(賞)を私たちの娘、フランシスにあげたいと思います」と述べ、用意してきたスピーチは読まず、長年にわたって敵対関係が報じられてきたデイヴ・グロールを含む、壇上のメンバーにハグをした。

「私はただ、カートがここに居て、この瞬間を感じることができたら良かったのに、と思っています。20年前は違ったかもしれないけれど、今夜なら彼はきっと感謝していたことでしょう」と彼女は加えた。

ステージではメンバーのクリス・ノヴォセリック、デイヴ・グロール、パット・スメアの演奏をバックに、4人の女性シンガーがバンドの楽曲をカバーした。

ジョーン・ジェットは「Smells Like Teen Spirit」を、ソニック・ユースのキム・ゴードンは「Aneurysm」を、セイント・ヴィンセントは「Lithium」を披露したほか、カートの死から2年後に誕生した若き歌姫ロードが、1993年のヒット曲「All Apologies」を歌った。

米「ニューヨーク・ポスト」紙によると、ニルヴァーナのメンバーは授賞式の後、ブルックリンのグリーンポイント地区にある小さなバーに移動し、ヒット曲の数々を披露したという。

親しい友人や関係者のみが招待されたシークレット・ライブは午前2時頃にスタートし、ジョーン・ジェット、ダイナソーJr.のJ・マスシス、セイント・ヴィンセント、キム・ゴードンがバンドと一緒にステージに立った。

さらに、ニルヴァーナのトリビュート・バンドとしても活動する米ロードアイランド州のロック・バンド、ディア・ティックのジョン・マコーリーが出演し、カートにそっくりなライブ・パフォーマンスを披露した。

カートがデザインしたフェンダーのギターを演奏したマコーリーが、ノヴォセリックに彼自身が曲作りに協力した曲を教える場面もあり、グロールは「本当にニルヴァーナのライブみたいだ」と笑っていたという。(MTV News)