サイモン・ペッグ＆ザッカリー・クイント、「スター・トレック」スールーの同性愛設定についてのジョージ・タケイのコメントに反応 「残念に思う」

シリーズ最新作「スター・トレック BEYOND」で、メインキャラクターのひとり、ヒカル・スールーが同性愛者として描かれると報じられ、かつて同役を演じた俳優ジョージ・タケイが難色を示した。それに対し、同作出演者のサイモン・ペッグ、ザッカリー・クイントが反論している。

最新シリーズでスールー役を演じるジョン・チョーは、豪ヘラルド・サン紙のインタビューで、最新作ではスールーに同性パートナーと娘がいることを明かした。脚本を担当し、スコッティ役を演じるサイモン・ペッグと監督のジャスティン・リンは、1966年に始まった「宇宙大作戦」でスールー役を演じ、同性愛者であることをオープンにしているジョージに敬意を払う意図で今回の決断に至ったという。

しかし、ジョージは米Hollywood Reporterのインタビューで、今回の決定はシリーズ生みの親であるジーン・ロッデンベリーが考え抜いて作り出したキャラクター像を「捻じ曲げてしまう」と指摘。シリーズを通してストレートだとされてきたスールーが、今作から同性愛者として描かれることは、これまで彼が同性愛者であることを隠してきたように捉えられてしまうことに懸念を示した。

しかし、サイモンは声明でジョージの考えに「失礼ながら、賛同しかねる」と自身の考えを述べている。

「私はジョージ・タケイのことをとても愛しており、尊敬もしています。彼のハート、勇気、そしてユーモアにインスパイアされています。しかしながら、我々のスールーに対する彼の考えに関しては、失礼ながら賛同しかねます」

「彼は正しい。残念ながら、SF映画の全てを含む寛大な宇宙に、これまでLGBTのキャラクターが登場してこなかったことがです。我々は、全く新しいゲイのキャラクターを生み出すこともできましたが、そのキャラクターは、どういった人物かではなく、初めからセクシャリティによって定義された”ゲイのキャラクター”として受け止められてしまうでしょう。それは形だけの平等主義になってしまうのではないでしょうか?」

「ジャスティン・リンとダグ・ユング(共同脚本)、そして私がこのアイディアを気に入ったのは、(スールーが)すでに知られたキャラクターだったからです。なぜなら、観客はスールーというキャラクターを、何の偏見もなく、人間として受け止めているからです。性的指向は、キャラクターを定義するものではなく、その人物が持つ多くの側面のうちの一つでしかありません。また観客も、同性愛者のヒーローは、何ら物珍しいものではなく、『スター・トレック』の世界(ケルヴィン・タイムラインのなかでは)に、初めからLGBTが存在したと思うでしょう。また、スールーが同性愛者であることを隠してきたということを示唆したことはないということに注意しなくはいけません。どうして彼がそんなことをしなくてはいけいないのでしょうか?今まで話題にされなかっただけのことです」

また、同シリーズでスポック役を演じ、同性愛者であることをオープンにしているザッカリー・クイントもPedestrian.TV.のインタビューで、サイモンの意見に同調する形で、ジョージの反応を「残念に思う」と述べた。

「僕自身もLGBTのコミュニティーのメンバーの一員として、ジョージが今回の決断に落胆していることを残念に思います。ジョージは、スールーというキャラクターに対し彼なりの個人的な関係を築いてきたことは理解しています。しかし、僕たちが2009年に現在のシリーズ1作目を作り上げた時、原典と異なる展開の世界を築き上げました。僕の想いは、特に、世界中の社会で多様性の受け入れが広がっていくという美しい描写に励まされ、インスパイアされた若者からの多くのポジティブな反応に、ジョージがいつか励まされることになるということです」