「シンプソンズ」、所在地騒ぎをさっそくジョークに

アメリカで20年以上にわたって愛され続けている国民的アニメ・シリーズ「ザ・シンプソンズ」。その舞台がどこにあるのかについて、先週全米メディアを巻き込んで大騒動があったばかりだが、番組の最新エピソードではちゃっかりそのことをネタにしたジョークが飛び出した。

「シンプソンズ」の舞台となっている町の名前は「スプリングフィールド」。この町がアメリカのどの州にあるのかは、長寿番組始まって以来、20年以上に渡り謎とされてきた。

しかし、クリエイターのマット・グレイニングは、米雑誌のインタビューで、子供の頃に見ていた「パパは何でも知っている」の舞台がスプリングフィールドという名前の町だったため、てっきり地元のオレゴン州にある同名の町が舞台だと勘違いしていたと告白。これを受けて4月10日、米メディアは「スプリングフィールドはオレゴン州にあった」といっせいに報道した。

そのすぐ2日後の4月12日、マットはもちろんそんな意図で話した訳ではないと、報道を否定。「ありふれた町名をつければ、自分の知ってる町が舞台になっている、と思ってくれるだろうと考え、スプリングフィールドと命名したんだ」と説明。あくまでも架空の町であることを強調した。

そんな騒動が冷めやらぬ中、そのわずか3日後の4月15日放送の「シンプソンズ」最新エピソードで、なんとさっそく、このことがネタとして使われたのだ。

その日の放送のオープニング映像の中で、黒板に「スプリングフィールドは、どこにでも存在するけど、あなたの州にはないよ (THE TRUE LOCATION OF SPRINGFIELD IS IN ANY STATE BUT YOURS) 」と書かれた文字が登場した。つまり、仮にスプリングフィールドが実在の町だとしても、あなたの住んでいる州にだけは絶対ないよ、というちょっとイジワルなメッセージになっている。

今回「スプリングフィールドはオレゴン州にあった」という最初の報道を聞いて一番よろこんだのはオレゴン州の住民であったことだろう。しかし、それはすぐマスコミの勘違いだったことがわかった。オレゴン州の住民はとんだ“ぬか喜び”をさせられてしまったわけだ。

そんな状況を見て、「シンプソンズ」のクリエイターたちはさっそく番組中でネタにしてしまった。早とちりしたマスコミを批判するとともに、スプリングフィールドが自分の州にあるかもという淡い期待を抱く人たちの想像もピシャリと断ち切ってしまう。まさに「シンプソンズ」流のブラックジョークの真骨頂だと言えるだろう。

「シンプソンズ」の人気の秘密はこういうところにあるのかもしれない。