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映画「ハード・ラッシュ」出演! 注目の若手俳優ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ インタビュー
2013年6月12日
(c) 2012 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.
映画「テッド」で冴えない男を演じたマーク・ウォールバーグ主演最新作「ハード・ラッシュ」(6月15日(土)公開)に出演する若手俳優ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(23)のインタビューが公開された。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは本作で、マーク・ウォールバーグ扮する“世界一の運び屋”クリスの義弟、アンディを演じている。彼の役どころは、家族に内緒で麻薬密輸を実行、失敗してしまい彼らを危険にさらす原因を作ってしまう少々困った男子。
しかし、ケイレブ自身は映画「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」や「アンチヴァイラル」に出演し、若手俳優として注目を集めている。
インタビューは以下の通り。
●「ハード・ラッシュ」出演を決意した理由は?
アンディのキャラクターに惹かれたんだ。親近感というんじゃないけど、彼みたいな人間をたくさん知っているという気がしたんだ。彼は、どういう人生を生きるべきかわからなくなって、無茶なことをしているうちに深みにハマってしまった青年だ。自分では何かを成し遂げたいと思って行動しているんだけど、彼の無軌道ぶりが原因で周囲を困った状況に追い込んでしまう。それに僕はジョヴァンニ・リビジの大ファンで、彼と共演できるチャンスを逃したくなかったんだよね。
脚本を読んだ当時はロンドンで「X—メン:ファースト・ジェネレーション」撮影中だったから、僕なりに解釈したアンディ像で数シーンを演じたテープをバルタザール(コルマウクル監督)に送ったら、監督から出演依頼の連絡があったんだ。
●アンディに共感する部分はあった?
アンディは自分が属してもいないし、何ひとつ理解できていない犯罪の世界で生きていきたいと必死になっている男だ。小学校4年生のときに僕が味わった疎外感を感じてると分析したよ(笑)。脚本を読んだ段階では僕はアンディをもっとタフに演じるつもりだった。でもオーディション・テープを見た監督から「君のアンディはちょっとハードボイルドすぎるから、もっと繊細で傷つきやすい少年のように演じてほしい」と言われた。僕には頑固な部分があるから、彼が願うようなキャラクターになりきれたかはちょっと自信がないんだ。実はバルタザールの期待に答えられなかったんじゃないかという恐れというか不安が心のどこかにあるんだ。
●役作りはどのように?
役作りに関しては、撮影スタッフを大いに心配させたと反省しているんだ。アンディってこういうことするだろうな、と思いついたことを片っ端から試してみた。役者用に用意されたホテルではなく、ベッドにノミがいるような場末のモーテルに泊まって、バーでケンカしたり、大酒かっくらったり。依存症傾向があるのはわかっているからドラッグには絶対に手を出さないようにしてたけどね。毎日の撮影後も衣装を返さないままだったから、衣装係はすごく困ったと思うんだ。自分でもナイーブだったと思ってる。
●バルタザール・コルマウクル監督と組んだ感想は?
監督との信頼関係は完璧だったと感じている。役者にとって監督を全面的に信じることができるのはすごく重要だよ。この映画を通じてすごく多くのことを学んだと思う。撮影の後半はもうバルタザールにまかせきりって感じだったよ。彼は監督だけじゃなく俳優としても素晴らしいし、もちろん人間としても尊敬している。撮影中は演技の細かい部分までアドバイスをしてくれた。例えば台詞を言うときに顔に妙に力が入って鼻孔がふくらむクセを指摘してもらった。自分では気づかなかったけど、言われた後にラッシュを見てすごく不自然だって気づいた。「大学や演劇学校に入って、きちんと演技を学んでみるのもいいよ」というアドバイスも心に留めているよ。
●自分の演技を大画面で見るのってどういう気持ち?
ちょっと極端かもしれないけど、最悪な気分になって「もう役者を辞めよう」と思うか、「俺、サイコー!」と思うかのどちらかなんだよね(笑)。自分で言うのも変だけど、僕ってすごく自分に厳しいんだ。人間ってある程度は自分に厳しくすることが必要だと思うけど、僕みたいに厳しすぎるのもよくないと友人からよく忠告されるんだ。どの作品を見ても自分に満足することはないんだ。永遠に満足できないかもね。友人から、自虐的すぎない?って驚かれることもあるしね。もちろん自分を責めて、リストカットするようなことはしないよ。でも祖父が同じタイプだったし、これはもう遺伝だね。
正直な話、自分が出ている映画を見るのは怖いことでもある。虚栄心に火がつくのは危険だし、落ち込んで自己破壊的になるのも精神的にマイナスだよ。でも自分の演技をしっかり見直すことで学べることも少なくないと思っているよ。
●悪役を演じたジョヴァンニ・リビジのファンとのこと。彼は悪役を楽しそうに演じていましたが、あなた自身もいつか悪役にチャレンジしてみたい?
悪役を演じたいと思っているわけではなく、その時々で演じるべきだと心が命じるキャラクターや心の底から共鳴できるキャラクターを一生懸命演じるべきだと考えているよ。実は僕にはどこか壊れたようなキャラクターに惹かれる傾向があるんだけど、そういう役ばかりを引き受けていたら本当に壊れちゃうかもしれないよね。役作りにハマる性格だから、アンディのような危険なキャラクターも1回限りでいいかな、と思っている。「ハード・ラッシュ」後は「アンチヴァイラル」でまったく違うキャラクターを演じられたのは、役者としては本当にラッキーだった。役から役への切り替えがすぐにできないとダメだからね。
●マーク・ウォルバーグやベン・フォスター、ケイト・ベッキンセールと共演した印象をそれぞれ教えてください。
先ほども話したけど、撮影中は勝手な行動をしていたせいであまり共演者と接する機会がなかったんだ。マークもベンも素晴らしい役者だと思うけど、撮影中はお互いに仕事に熱中しているだけだった。姉役のケイトとも、撮影前の顔合わせのときに少し話したくらいなんだ。唯一、個人的に親しくなったのはルーカス・ハースだけで、夜にバーに行くのに付き合ってくれたりしたんだ。
共演者よりも送迎車の運転手とのほうが仲良くなったかも(笑)。ちょっと残念な気もするよ。でも撮影スタッフというのはやはり家族のような雰囲気で、バルタザールや撮影監督のバリー・アクロイドとは本当にいい関係を築けたよ。
●「X—メン:ファースト・ジェネレーション」や「ハード・ラッシュ」といったブロックバスター作品と「アンチヴァイラル」のようなアートハウス作品の両方で活躍していますが、どのようにバランスを取っているの?
僕が意図的にバランスを取ろうとして作品選びをしているわけではないんだよ。エージェントとマネジャーがとても賢い人たちで僕がステレオタイプな役者にならないような作品を選ぶようにそれとなく誘導してくれていると感じている。彼らのようなスタッフがいてすごくラッキーだ。
個人的にはブロックバスター作品やアートハウス作品といった分類はあまり意味がないと思ってる。どんな作品でも役者にとって重要なのは役作りであり、演じがいがあると感じられることじゃないかな。唯一の違いは製作費が巨額かそこそこかというだけ。もちろんハリウッドではお金はとても重要なのはわかっているけど、僕ら役者にとって重要なのは現場でしか感じることのできないパワーなんだ。スピリチュアルというかマジカルというか……、なんて表現したらいいかわからないけど、撮影現場でしか体感できない感覚ってあって、役者はこれからエネルギーをもらうんだ。こんな素晴らしい感覚を味わえる仕事ができてハッピーだし、いろいろな作品に出してもらえるだけでも本当にありがたいと思ってるよ。役者としては心のおもむくままに様々な映画に出ていれば、幸せになれると信じている。
●その“幸せ”とはハリウッドでの成功を意味するのかしら?
僕が言う“幸せ”は成功とは別物だよ。そもそも成功ってトリッキーで危険な言葉だよね。成功に溺れてしまうと人生を台無しにしかねないし、名声が芸術(映画)を壊してしまうこともある。作家のトム・ウルフは「お金や他人からの称賛、そして自己宣伝に興味を無くした途端に人間は成功の頂点に達せるはず」と言っているけど、理想論かな。さらに言うと、成功するかどうかは自分でコントロールできるものでもない。出演作が予想できないくらいに大ヒットしていきなり人気スターになることもあるでしょう。ハリウッドでは何が起こっても不思議じゃないし、成功を追い求めるのは危険だと思うよ。
●昨年、デニム・ブランド「Gスター・ロウ」のモデルに選ばれたし、そろそろバンド活動もスタートするとか。それはあなたの言う「心のおもむくまま」の仕事選びなのかしら?
「Gスター・ロウ」からのオファーは本当に寝耳に水のような感じだった。でも実際にスタッフと会って話をしたら、すごくアーティスティックで愉快な人たちばかりだったんだ。それに撮影するのがアントン・コービンとあっては断れないよね。以前からマイルス・デイビスを撮影したコービンの写真の大ファンだったんだ。ミューズを務めたおかげでどうしようもない駄作に出演しないで済んだのも本当にありがたかったな。僕は全力を傾けないでも済むような映画には出たくないんだ。そんな中途半端な仕事をするくらいなら故郷のテキサスに戻るべきだと思ってる。
音楽は僕にとってはとてもパーソナルなアートなんだ。お金が絡むと純粋なものでなくなるような気がするから、仕事として活動する気は今のところはないんだ。それに今の音楽業界って営利目的で、音楽性なんて無視されてるよ。邪悪な業界さ。
●今後、どういう俳優になりたいと思っているか教えてください。
すごく難しい質問だな。僕らの世代の憧れの俳優といえばダニエル・デイ・ルイスだよね。どの映画を見ても彼が高い志で演技に向き合っているのがわかる。演技や映画作りにおいて絶対に中途半端なことはしない彼のような役者がいてくれるだけで同じ役者として安心感がある。
僕が主義として貫きたいのは、お金のために映画に出るのではなく観客の心に何かを訴えかけられるメッセージ性のある作品に出るということ。だから作品選びには細心の注意を払うようにしている。役者でも監督でも人気が出ると大きい屋敷や高級車を手に入れたがり、その結果ローンを払うために仕事をするようになる。本末転倒だよね。お金のためだけに映画に出ました、って姿勢は観客にも伝わっちゃうし、そうなったら役者としての尊厳を取り戻せなくなるかもしれない。作品選びには卵の殻の上を歩くような慎重さが必要だなって実感しているよ。
映画「ハード・ラッシュ」は、6月15日(土)より丸の内ルーブル、ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国ロードショー
■ 公開情報
「ハード・ラッシュ」
2013年6月15日(土)丸の内ルーブル、ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国ロードショー
監督:バルタザール・コルマウクル「愛と欲望の果て<未>」(2001出演)/「陽のあたる場所から」(2003 出演/製作)/「7デイズ<未>」(2010 監督)
脚本:アーロン・グジコウスキ「Prisoners」(2013) ヒュー・ジャックマン主演、ジェイク・ギレンホール共演作
出演:マーク・ウォールバーグ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ベン・フォワード、ルーカス・ハーズ、ケイト・ベッキンセール他
PG12
配給:東京テアトル 提供:ユニバーサル・ピクチャーズ
(c) 2012 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは本作で、マーク・ウォールバーグ扮する“世界一の運び屋”クリスの義弟、アンディを演じている。彼の役どころは、家族に内緒で麻薬密輸を実行、失敗してしまい彼らを危険にさらす原因を作ってしまう少々困った男子。
しかし、ケイレブ自身は映画「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」や「アンチヴァイラル」に出演し、若手俳優として注目を集めている。
インタビューは以下の通り。
●「ハード・ラッシュ」出演を決意した理由は?
アンディのキャラクターに惹かれたんだ。親近感というんじゃないけど、彼みたいな人間をたくさん知っているという気がしたんだ。彼は、どういう人生を生きるべきかわからなくなって、無茶なことをしているうちに深みにハマってしまった青年だ。自分では何かを成し遂げたいと思って行動しているんだけど、彼の無軌道ぶりが原因で周囲を困った状況に追い込んでしまう。それに僕はジョヴァンニ・リビジの大ファンで、彼と共演できるチャンスを逃したくなかったんだよね。
脚本を読んだ当時はロンドンで「X—メン:ファースト・ジェネレーション」撮影中だったから、僕なりに解釈したアンディ像で数シーンを演じたテープをバルタザール(コルマウクル監督)に送ったら、監督から出演依頼の連絡があったんだ。
●アンディに共感する部分はあった?
アンディは自分が属してもいないし、何ひとつ理解できていない犯罪の世界で生きていきたいと必死になっている男だ。小学校4年生のときに僕が味わった疎外感を感じてると分析したよ(笑)。脚本を読んだ段階では僕はアンディをもっとタフに演じるつもりだった。でもオーディション・テープを見た監督から「君のアンディはちょっとハードボイルドすぎるから、もっと繊細で傷つきやすい少年のように演じてほしい」と言われた。僕には頑固な部分があるから、彼が願うようなキャラクターになりきれたかはちょっと自信がないんだ。実はバルタザールの期待に答えられなかったんじゃないかという恐れというか不安が心のどこかにあるんだ。
●役作りはどのように?
役作りに関しては、撮影スタッフを大いに心配させたと反省しているんだ。アンディってこういうことするだろうな、と思いついたことを片っ端から試してみた。役者用に用意されたホテルではなく、ベッドにノミがいるような場末のモーテルに泊まって、バーでケンカしたり、大酒かっくらったり。依存症傾向があるのはわかっているからドラッグには絶対に手を出さないようにしてたけどね。毎日の撮影後も衣装を返さないままだったから、衣装係はすごく困ったと思うんだ。自分でもナイーブだったと思ってる。
●バルタザール・コルマウクル監督と組んだ感想は?
監督との信頼関係は完璧だったと感じている。役者にとって監督を全面的に信じることができるのはすごく重要だよ。この映画を通じてすごく多くのことを学んだと思う。撮影の後半はもうバルタザールにまかせきりって感じだったよ。彼は監督だけじゃなく俳優としても素晴らしいし、もちろん人間としても尊敬している。撮影中は演技の細かい部分までアドバイスをしてくれた。例えば台詞を言うときに顔に妙に力が入って鼻孔がふくらむクセを指摘してもらった。自分では気づかなかったけど、言われた後にラッシュを見てすごく不自然だって気づいた。「大学や演劇学校に入って、きちんと演技を学んでみるのもいいよ」というアドバイスも心に留めているよ。
●自分の演技を大画面で見るのってどういう気持ち?
ちょっと極端かもしれないけど、最悪な気分になって「もう役者を辞めよう」と思うか、「俺、サイコー!」と思うかのどちらかなんだよね(笑)。自分で言うのも変だけど、僕ってすごく自分に厳しいんだ。人間ってある程度は自分に厳しくすることが必要だと思うけど、僕みたいに厳しすぎるのもよくないと友人からよく忠告されるんだ。どの作品を見ても自分に満足することはないんだ。永遠に満足できないかもね。友人から、自虐的すぎない?って驚かれることもあるしね。もちろん自分を責めて、リストカットするようなことはしないよ。でも祖父が同じタイプだったし、これはもう遺伝だね。
正直な話、自分が出ている映画を見るのは怖いことでもある。虚栄心に火がつくのは危険だし、落ち込んで自己破壊的になるのも精神的にマイナスだよ。でも自分の演技をしっかり見直すことで学べることも少なくないと思っているよ。
●悪役を演じたジョヴァンニ・リビジのファンとのこと。彼は悪役を楽しそうに演じていましたが、あなた自身もいつか悪役にチャレンジしてみたい?
悪役を演じたいと思っているわけではなく、その時々で演じるべきだと心が命じるキャラクターや心の底から共鳴できるキャラクターを一生懸命演じるべきだと考えているよ。実は僕にはどこか壊れたようなキャラクターに惹かれる傾向があるんだけど、そういう役ばかりを引き受けていたら本当に壊れちゃうかもしれないよね。役作りにハマる性格だから、アンディのような危険なキャラクターも1回限りでいいかな、と思っている。「ハード・ラッシュ」後は「アンチヴァイラル」でまったく違うキャラクターを演じられたのは、役者としては本当にラッキーだった。役から役への切り替えがすぐにできないとダメだからね。
●マーク・ウォルバーグやベン・フォスター、ケイト・ベッキンセールと共演した印象をそれぞれ教えてください。
先ほども話したけど、撮影中は勝手な行動をしていたせいであまり共演者と接する機会がなかったんだ。マークもベンも素晴らしい役者だと思うけど、撮影中はお互いに仕事に熱中しているだけだった。姉役のケイトとも、撮影前の顔合わせのときに少し話したくらいなんだ。唯一、個人的に親しくなったのはルーカス・ハースだけで、夜にバーに行くのに付き合ってくれたりしたんだ。
共演者よりも送迎車の運転手とのほうが仲良くなったかも(笑)。ちょっと残念な気もするよ。でも撮影スタッフというのはやはり家族のような雰囲気で、バルタザールや撮影監督のバリー・アクロイドとは本当にいい関係を築けたよ。
●「X—メン:ファースト・ジェネレーション」や「ハード・ラッシュ」といったブロックバスター作品と「アンチヴァイラル」のようなアートハウス作品の両方で活躍していますが、どのようにバランスを取っているの?
僕が意図的にバランスを取ろうとして作品選びをしているわけではないんだよ。エージェントとマネジャーがとても賢い人たちで僕がステレオタイプな役者にならないような作品を選ぶようにそれとなく誘導してくれていると感じている。彼らのようなスタッフがいてすごくラッキーだ。
個人的にはブロックバスター作品やアートハウス作品といった分類はあまり意味がないと思ってる。どんな作品でも役者にとって重要なのは役作りであり、演じがいがあると感じられることじゃないかな。唯一の違いは製作費が巨額かそこそこかというだけ。もちろんハリウッドではお金はとても重要なのはわかっているけど、僕ら役者にとって重要なのは現場でしか感じることのできないパワーなんだ。スピリチュアルというかマジカルというか……、なんて表現したらいいかわからないけど、撮影現場でしか体感できない感覚ってあって、役者はこれからエネルギーをもらうんだ。こんな素晴らしい感覚を味わえる仕事ができてハッピーだし、いろいろな作品に出してもらえるだけでも本当にありがたいと思ってるよ。役者としては心のおもむくままに様々な映画に出ていれば、幸せになれると信じている。
●その“幸せ”とはハリウッドでの成功を意味するのかしら?
僕が言う“幸せ”は成功とは別物だよ。そもそも成功ってトリッキーで危険な言葉だよね。成功に溺れてしまうと人生を台無しにしかねないし、名声が芸術(映画)を壊してしまうこともある。作家のトム・ウルフは「お金や他人からの称賛、そして自己宣伝に興味を無くした途端に人間は成功の頂点に達せるはず」と言っているけど、理想論かな。さらに言うと、成功するかどうかは自分でコントロールできるものでもない。出演作が予想できないくらいに大ヒットしていきなり人気スターになることもあるでしょう。ハリウッドでは何が起こっても不思議じゃないし、成功を追い求めるのは危険だと思うよ。
●昨年、デニム・ブランド「Gスター・ロウ」のモデルに選ばれたし、そろそろバンド活動もスタートするとか。それはあなたの言う「心のおもむくまま」の仕事選びなのかしら?
「Gスター・ロウ」からのオファーは本当に寝耳に水のような感じだった。でも実際にスタッフと会って話をしたら、すごくアーティスティックで愉快な人たちばかりだったんだ。それに撮影するのがアントン・コービンとあっては断れないよね。以前からマイルス・デイビスを撮影したコービンの写真の大ファンだったんだ。ミューズを務めたおかげでどうしようもない駄作に出演しないで済んだのも本当にありがたかったな。僕は全力を傾けないでも済むような映画には出たくないんだ。そんな中途半端な仕事をするくらいなら故郷のテキサスに戻るべきだと思ってる。
音楽は僕にとってはとてもパーソナルなアートなんだ。お金が絡むと純粋なものでなくなるような気がするから、仕事として活動する気は今のところはないんだ。それに今の音楽業界って営利目的で、音楽性なんて無視されてるよ。邪悪な業界さ。
●今後、どういう俳優になりたいと思っているか教えてください。
すごく難しい質問だな。僕らの世代の憧れの俳優といえばダニエル・デイ・ルイスだよね。どの映画を見ても彼が高い志で演技に向き合っているのがわかる。演技や映画作りにおいて絶対に中途半端なことはしない彼のような役者がいてくれるだけで同じ役者として安心感がある。
僕が主義として貫きたいのは、お金のために映画に出るのではなく観客の心に何かを訴えかけられるメッセージ性のある作品に出るということ。だから作品選びには細心の注意を払うようにしている。役者でも監督でも人気が出ると大きい屋敷や高級車を手に入れたがり、その結果ローンを払うために仕事をするようになる。本末転倒だよね。お金のためだけに映画に出ました、って姿勢は観客にも伝わっちゃうし、そうなったら役者としての尊厳を取り戻せなくなるかもしれない。作品選びには卵の殻の上を歩くような慎重さが必要だなって実感しているよ。
映画「ハード・ラッシュ」は、6月15日(土)より丸の内ルーブル、ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国ロードショー
■ 公開情報
「ハード・ラッシュ」
2013年6月15日(土)丸の内ルーブル、ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国ロードショー
監督:バルタザール・コルマウクル「愛と欲望の果て<未>」(2001出演)/「陽のあたる場所から」(2003 出演/製作)/「7デイズ<未>」(2010 監督)
脚本:アーロン・グジコウスキ「Prisoners」(2013) ヒュー・ジャックマン主演、ジェイク・ギレンホール共演作
出演:マーク・ウォールバーグ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ベン・フォワード、ルーカス・ハーズ、ケイト・ベッキンセール他
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(c) 2012 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.
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