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全米大ヒットの歴史ドラマ『ヴァイキング〜海の覇者たち〜』制作者マイケル・ハーストインタビュー
2015年2月13日
マイケル・ハースト
歴史に関するドキュメンタリー番組を多く放送しているヒストリーチャンネルでは、チャンネル初の海外ドラマシリーズとして、全米大ヒットの歴史ドラマ「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」を2月22日(日)21:00より日本初放送する。
「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」は、伝説のヴァイキングの王「ラグナル」の若き日を描いた壮大な物語。ヴァイキングたちの闘いはもちろん、家族・仲間の絆、その生活ぶりなどが、リアルに描かれる。「略奪者」というイメージを覆す様な、彼らの高度な造船技術や航海術、信仰など知られざるヴァイキングの姿を浮き彫りにしている。
脚本・製作総指揮を担ったのは、アカデミー賞受賞作「エリザベス」、エミー賞受賞作「THE TUDORS〜背徳の王冠〜」をはじめ、歴史映画・ドラマに定評のあるマイケル・ハースト。今回、日本初放送を記念して、ハースト氏とのインタビューが実現した。イギリスのハースト氏との国際電話でのインタビューは40分近くに及んだ。一問一答は以下の通り。
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—なぜヴァイキングをドラマの題材に選んだ?
「これまで手がけてきた作品とは異なった世界だったからです。『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』のプロジェクトには何年か携っていたので、今度はそれとは違う題材を探していたんです。それと、ドラマを製作している会社のMGMから頼まれたから引き受けたんですが(笑)。「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」のリサーチをする過程で、ヴァイキングという題材に興味をひかれました。様々な文献を読み、驚くような事実を初めて知りました。例えば、高度な航海術や造船技術を備えていたこと。だから遠くまで航海することができた。それにヴァイキングの世界は、アングロサクソン人やフランス人よりも民主主義的でした。彼らは、何かを決める際は、集会の場で、民衆と一緒に物事を決めていたんです。アングロサクソン人やフランス人よりも彼らの方が文明的に進んでいたなんて、とても驚きました。また、女性たちの存在感も大きかった。社会のルールを決める場に参加し、自分の財産を持つことができた。離婚も妻の側から申し出ることがあった。それに戦闘に参加することもあったし、部族の長として首長にさえなることもできたんですよ」
—総製作費4000万ドルという大規模な歴史スペクタクルである本作。どのような部分に予算をつぎこんだ?
「歴史を背景にしたドラマの製作にはとてもお金がかかるものです。特に世界観を構築するために多くを費やします。例えばセットづくり。そして、ヴァイキングが使う船などの大道具や衣装などなど。もちろん大勢の俳優を起用するためにも使います。とにかく視聴者に楽しんでもらうための画面を作るために、全体的に予算を費やしました。でも無駄なお金は一切使っていませんよ」
—今回、舞台となるのは8世紀末。1200年以上昔の世界を正確に再現するため、苦労したことは?
「一番重要だったのは、これをドキュメンタリー作品ではなくて、ドラマ作品にしなければいけなかったところです。私は、番組を作る上で多くの文献を読み込み、膨大なリサーチを行います。そうした過程の中で、自然にキャラクターたちやストーリーのアイデアが思い浮かんできました。出来る限り作品に現実味を持たせることを心がけました」
—好きなキャラクターは?
「どのキャラクターも好きですよ。ドラマシリーズに携って面白いのはそこで、キャラクターとの付き合いが長くなるにつれて愛着が増してくるものなんです。特に主役のラグナル(伝説のヴァイキング王)やその妻のラゲルサが好きですし、彼らはこの物語で重要な役割を果たしていますね。それと個人的に、親近感を覚えてしまう大好きなキャラクターが二人います。一人は修道士のアセルスタン。彼は現代社会に生きる視聴者が、ヴァイキングの世界に連れて行かれたらどうなるのか?というのを実際に体現している役なんです。あとフロキもいいですね。彼は船造りの名人ですが、同時に危険な側面も持ち合わせているんです。ヴァイキングの中でも道化師的な存在と言えるでしょうね。クレイジーで楽しいキャラクターなので脚本を書いていて楽しいですよ。僕は執筆の際に、彼らのことをずっと考えているので、本当に存在している人物のように思えてくるんです。だから、逆にキャラクターたちから驚かされるようなこともあったりするんですよ」
—主役ラグナルを演じた俳優トラビス・フィメルを起用した理由は?
「私は、何よりこれまでのヴァイキング映画等に登場する様な、人々がヴァイキングに対して持っている固定観念を覆すようなキャスティングを考えていました。もの静かで、人として深みを持ち、内省的で思慮深い、そういった雰囲気を醸し出せる様な人材を求めていたんです。でもそんな人物はなかなかいなくて、トラビスに出逢うまでには長い時間を要しました。撮影に入るまであと2週間、かなり焦っていた時に、トラビスのサンプル映像が送られてきました。彼がオーストラリアにある自宅のキッチンで、ラグナルのセリフを入っている映像だったのですが、それを見たときに、全員が「ああ、この人だ」って思ったんです」
—歴史考証で特に力を入れた点は?
「ヴァイキングたちは古ノルド語を使っていたので、番組の中でも古ノルド語を使いました。専門家や学者にお願いして、僕の書いたセリフを古ノルド語に翻訳してもらいました。視聴者に少しでもヴァイキングたちの使っていた言葉を聞いて欲しいと思ったんです。その中で僕が使った語彙の多くは、ヴァイキング時代の後半にヴァイキングや彼らの神話などについて書かれた書物に基づいています。それと、船造りにもこだわって、腕のいい大工を雇いました。そして当時のヴァイキングの作り方と同じように造ってもらったんです。それから衣装は、実際に衣装デザイナーがスカンジナビア地域を訪れて、どのように作られているかを実際間近で見てきました。全てにおいて出来る限り現実感が出せるように努力したんですよ」
—撮影現場での印象的なエピソードは?
「撮影は美しい自然があるアイルランドで行われました。撮影に関わったクルーは、みんな素晴らしい人ばかりでした。出演者も素晴らしかったし、全員が一丸となってドラマ作りにはげんでいました。みんなが楽しみながら和やかな雰囲気の中で番組を作りました。中でも素晴らしい瞬間がいくつかありました。例えば、今回バイキングの船を三艘使ったのですが、ある夏の早朝に、美しい大自然を背景に船が進んでいくシーンを撮影しました。それを見ながら、船が美しかったのと同時に恐怖感を覚えました。クルーのみんなも手を止めて、その船が川の向こうから近づいて来る様子を見た時に、僕が「この圧巻の風景こそがヴァイキングと初めて遭遇した人々が目にしたであろう光景だよ」と言ったんです。もう一つとても記憶に残る出来事がありました。シーズン1の第8話目「Sacrifice(犠牲)」というエピソードの中に登場する寺院を建てていた時のことです。美しくて静かな森の中で、木を切ったり叩いたり大きな音を響かせながら造っていたところ、その音に誘われたのか、突然森の奥からから大きな角を持った雄ジカが現れたんです。その時みんな手を止めてその野生の鹿を眺めていたら、そのまま寺院の中に歩いて入っていきました。恐れる様子もなく、寺の中を回ると、何も無かったかのように、再び森に消えていきました。その間、2分ぐらいだったでしょうか。その時、ヴァイキングの神話の中では、動物が神様の化身と考えられていたことを思い出しました。だから僕たちも、鹿と遭遇したのではなく、ヴァイキングの神に出くわしたんだろうと思うようにしました。それ以降、鹿が現われることはなかったのですが、その鹿はヴァイキングの神様ではないか?と考えたんです」
—ヴァイキングという存在が、世界史で果たした役割は?
「ヨーロッパの歴史や文化においてとても重要な存在です。彼らの影響はロシアから英国、そしてフランスへと広がっていきました。例えば「ノルマンディ(Normandie)」という土地名を取っても分かるように、「Land of the North Man」が語源になっています。フランス人たちは、ヴァイキングが襲来した時、彼らに膨大な土地を明け渡しました。パリを襲撃されないように。その時、ロロという名前のヴァイキングに土地を渡し、そこがノルマンディという地名になったんです。「North Manの土地」という名前です。ヴァイキングたちは長期にわたり、英国の大部分を占領してきたから、英語の言語などにも大きな影響を及ぼしています。それから実は、コロンブスが北アメリカ大陸を発見する何百年も前に、ヴァイキングたちはすでにアメリカにたどり着いていたんですよ。貿易商人としても旅人しても優れていた彼らは、数多くの文明と接触があったはずなんです。中国やロシアに残っている古い文献の中にも彼らの存在の記述があったり、いろんな形で彼らの形跡が残されています。ロシア(Russia)の「Rus」は、ヴァイキングのルーシ族が基になっているのは驚きです。ヴァイキングは、アイスランドとグリーンランドも占領していたんですよ。」
—作品には史実に基づいた場面が多く登場する。例えば、シーズン1の第2話の最後に修道院を襲撃するシーン(イングランドのリンデスファーン修道院を襲撃した事件/793年)。とても衝撃的なシーンなのだが、このシーンの詳細について?
「リンディスファーンの襲撃は有名なです。ヨーロッパ全域を震撼させた出来事でした。ヴァイキングが最初におこなった蹂躙とされていますからね。僕も実際に何度もリンディスファーンを訪れましたけど、修道院の遺跡がまだしっかり残っています。異様で呪われているような雰囲気が漂っていました。でもヴァイキングたちの略奪のやり方や戦い方を理解するにつれ、黒澤明の映画を思い出しました。僕も彼の作品には多大な影響を受けた1人なんです。彼の映画の中で描かれていた侍たちの戦い方や儀式などには、本当に衝撃と感銘を受けましたので」
—日本の視聴者にメッセージをお願いします
「できるだけ多くの方に見ていただきたいですが、若い人達に見てほしいです。このドラマを通して、ヴァイキングに興味を持ってもらえたらうれしいですね。バイキングは世界的にイメージがあまり良くないですから。いつでも女性に暴力を振るったり、略奪したりという悪者として描かれ続けてきたので、その印象を少しでも変えられれば、と思います。それと私が黒澤明監督の作品に影響を受けていることを知ってほしいです。特に彼の作品の素晴らしいアクションは、私の作品の中にも生きています。エンターテインメントとして、人々を楽しませる作品になるように心がけましたが、観る人にもその気持ちが伝わればうれしいです」
「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」は、CS放送ヒストリーチャンネルにて、2月22日(日)21:00から放送スタート。初回は第1話と2話を連続放送。以後、毎週日曜日21:00〜22:00ほかで放送される(全9話)。
「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」は、伝説のヴァイキングの王「ラグナル」の若き日を描いた壮大な物語。ヴァイキングたちの闘いはもちろん、家族・仲間の絆、その生活ぶりなどが、リアルに描かれる。「略奪者」というイメージを覆す様な、彼らの高度な造船技術や航海術、信仰など知られざるヴァイキングの姿を浮き彫りにしている。
脚本・製作総指揮を担ったのは、アカデミー賞受賞作「エリザベス」、エミー賞受賞作「THE TUDORS〜背徳の王冠〜」をはじめ、歴史映画・ドラマに定評のあるマイケル・ハースト。今回、日本初放送を記念して、ハースト氏とのインタビューが実現した。イギリスのハースト氏との国際電話でのインタビューは40分近くに及んだ。一問一答は以下の通り。
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—なぜヴァイキングをドラマの題材に選んだ?
「これまで手がけてきた作品とは異なった世界だったからです。『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』のプロジェクトには何年か携っていたので、今度はそれとは違う題材を探していたんです。それと、ドラマを製作している会社のMGMから頼まれたから引き受けたんですが(笑)。「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」のリサーチをする過程で、ヴァイキングという題材に興味をひかれました。様々な文献を読み、驚くような事実を初めて知りました。例えば、高度な航海術や造船技術を備えていたこと。だから遠くまで航海することができた。それにヴァイキングの世界は、アングロサクソン人やフランス人よりも民主主義的でした。彼らは、何かを決める際は、集会の場で、民衆と一緒に物事を決めていたんです。アングロサクソン人やフランス人よりも彼らの方が文明的に進んでいたなんて、とても驚きました。また、女性たちの存在感も大きかった。社会のルールを決める場に参加し、自分の財産を持つことができた。離婚も妻の側から申し出ることがあった。それに戦闘に参加することもあったし、部族の長として首長にさえなることもできたんですよ」
—総製作費4000万ドルという大規模な歴史スペクタクルである本作。どのような部分に予算をつぎこんだ?
「歴史を背景にしたドラマの製作にはとてもお金がかかるものです。特に世界観を構築するために多くを費やします。例えばセットづくり。そして、ヴァイキングが使う船などの大道具や衣装などなど。もちろん大勢の俳優を起用するためにも使います。とにかく視聴者に楽しんでもらうための画面を作るために、全体的に予算を費やしました。でも無駄なお金は一切使っていませんよ」
—今回、舞台となるのは8世紀末。1200年以上昔の世界を正確に再現するため、苦労したことは?
「一番重要だったのは、これをドキュメンタリー作品ではなくて、ドラマ作品にしなければいけなかったところです。私は、番組を作る上で多くの文献を読み込み、膨大なリサーチを行います。そうした過程の中で、自然にキャラクターたちやストーリーのアイデアが思い浮かんできました。出来る限り作品に現実味を持たせることを心がけました」
© 2014 TM PRODUCTIONS LIMITED / T5 VIKINGS PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED
—好きなキャラクターは?
「どのキャラクターも好きですよ。ドラマシリーズに携って面白いのはそこで、キャラクターとの付き合いが長くなるにつれて愛着が増してくるものなんです。特に主役のラグナル(伝説のヴァイキング王)やその妻のラゲルサが好きですし、彼らはこの物語で重要な役割を果たしていますね。それと個人的に、親近感を覚えてしまう大好きなキャラクターが二人います。一人は修道士のアセルスタン。彼は現代社会に生きる視聴者が、ヴァイキングの世界に連れて行かれたらどうなるのか?というのを実際に体現している役なんです。あとフロキもいいですね。彼は船造りの名人ですが、同時に危険な側面も持ち合わせているんです。ヴァイキングの中でも道化師的な存在と言えるでしょうね。クレイジーで楽しいキャラクターなので脚本を書いていて楽しいですよ。僕は執筆の際に、彼らのことをずっと考えているので、本当に存在している人物のように思えてくるんです。だから、逆にキャラクターたちから驚かされるようなこともあったりするんですよ」
—主役ラグナルを演じた俳優トラビス・フィメルを起用した理由は?
「私は、何よりこれまでのヴァイキング映画等に登場する様な、人々がヴァイキングに対して持っている固定観念を覆すようなキャスティングを考えていました。もの静かで、人として深みを持ち、内省的で思慮深い、そういった雰囲気を醸し出せる様な人材を求めていたんです。でもそんな人物はなかなかいなくて、トラビスに出逢うまでには長い時間を要しました。撮影に入るまであと2週間、かなり焦っていた時に、トラビスのサンプル映像が送られてきました。彼がオーストラリアにある自宅のキッチンで、ラグナルのセリフを入っている映像だったのですが、それを見たときに、全員が「ああ、この人だ」って思ったんです」
—歴史考証で特に力を入れた点は?
「ヴァイキングたちは古ノルド語を使っていたので、番組の中でも古ノルド語を使いました。専門家や学者にお願いして、僕の書いたセリフを古ノルド語に翻訳してもらいました。視聴者に少しでもヴァイキングたちの使っていた言葉を聞いて欲しいと思ったんです。その中で僕が使った語彙の多くは、ヴァイキング時代の後半にヴァイキングや彼らの神話などについて書かれた書物に基づいています。それと、船造りにもこだわって、腕のいい大工を雇いました。そして当時のヴァイキングの作り方と同じように造ってもらったんです。それから衣装は、実際に衣装デザイナーがスカンジナビア地域を訪れて、どのように作られているかを実際間近で見てきました。全てにおいて出来る限り現実感が出せるように努力したんですよ」
—撮影現場での印象的なエピソードは?
「撮影は美しい自然があるアイルランドで行われました。撮影に関わったクルーは、みんな素晴らしい人ばかりでした。出演者も素晴らしかったし、全員が一丸となってドラマ作りにはげんでいました。みんなが楽しみながら和やかな雰囲気の中で番組を作りました。中でも素晴らしい瞬間がいくつかありました。例えば、今回バイキングの船を三艘使ったのですが、ある夏の早朝に、美しい大自然を背景に船が進んでいくシーンを撮影しました。それを見ながら、船が美しかったのと同時に恐怖感を覚えました。クルーのみんなも手を止めて、その船が川の向こうから近づいて来る様子を見た時に、僕が「この圧巻の風景こそがヴァイキングと初めて遭遇した人々が目にしたであろう光景だよ」と言ったんです。もう一つとても記憶に残る出来事がありました。シーズン1の第8話目「Sacrifice(犠牲)」というエピソードの中に登場する寺院を建てていた時のことです。美しくて静かな森の中で、木を切ったり叩いたり大きな音を響かせながら造っていたところ、その音に誘われたのか、突然森の奥からから大きな角を持った雄ジカが現れたんです。その時みんな手を止めてその野生の鹿を眺めていたら、そのまま寺院の中に歩いて入っていきました。恐れる様子もなく、寺の中を回ると、何も無かったかのように、再び森に消えていきました。その間、2分ぐらいだったでしょうか。その時、ヴァイキングの神話の中では、動物が神様の化身と考えられていたことを思い出しました。だから僕たちも、鹿と遭遇したのではなく、ヴァイキングの神に出くわしたんだろうと思うようにしました。それ以降、鹿が現われることはなかったのですが、その鹿はヴァイキングの神様ではないか?と考えたんです」
—ヴァイキングという存在が、世界史で果たした役割は?
「ヨーロッパの歴史や文化においてとても重要な存在です。彼らの影響はロシアから英国、そしてフランスへと広がっていきました。例えば「ノルマンディ(Normandie)」という土地名を取っても分かるように、「Land of the North Man」が語源になっています。フランス人たちは、ヴァイキングが襲来した時、彼らに膨大な土地を明け渡しました。パリを襲撃されないように。その時、ロロという名前のヴァイキングに土地を渡し、そこがノルマンディという地名になったんです。「North Manの土地」という名前です。ヴァイキングたちは長期にわたり、英国の大部分を占領してきたから、英語の言語などにも大きな影響を及ぼしています。それから実は、コロンブスが北アメリカ大陸を発見する何百年も前に、ヴァイキングたちはすでにアメリカにたどり着いていたんですよ。貿易商人としても旅人しても優れていた彼らは、数多くの文明と接触があったはずなんです。中国やロシアに残っている古い文献の中にも彼らの存在の記述があったり、いろんな形で彼らの形跡が残されています。ロシア(Russia)の「Rus」は、ヴァイキングのルーシ族が基になっているのは驚きです。ヴァイキングは、アイスランドとグリーンランドも占領していたんですよ。」
—作品には史実に基づいた場面が多く登場する。例えば、シーズン1の第2話の最後に修道院を襲撃するシーン(イングランドのリンデスファーン修道院を襲撃した事件/793年)。とても衝撃的なシーンなのだが、このシーンの詳細について?
「リンディスファーンの襲撃は有名なです。ヨーロッパ全域を震撼させた出来事でした。ヴァイキングが最初におこなった蹂躙とされていますからね。僕も実際に何度もリンディスファーンを訪れましたけど、修道院の遺跡がまだしっかり残っています。異様で呪われているような雰囲気が漂っていました。でもヴァイキングたちの略奪のやり方や戦い方を理解するにつれ、黒澤明の映画を思い出しました。僕も彼の作品には多大な影響を受けた1人なんです。彼の映画の中で描かれていた侍たちの戦い方や儀式などには、本当に衝撃と感銘を受けましたので」
—日本の視聴者にメッセージをお願いします
「できるだけ多くの方に見ていただきたいですが、若い人達に見てほしいです。このドラマを通して、ヴァイキングに興味を持ってもらえたらうれしいですね。バイキングは世界的にイメージがあまり良くないですから。いつでも女性に暴力を振るったり、略奪したりという悪者として描かれ続けてきたので、その印象を少しでも変えられれば、と思います。それと私が黒澤明監督の作品に影響を受けていることを知ってほしいです。特に彼の作品の素晴らしいアクションは、私の作品の中にも生きています。エンターテインメントとして、人々を楽しませる作品になるように心がけましたが、観る人にもその気持ちが伝わればうれしいです」
「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」は、CS放送ヒストリーチャンネルにて、2月22日(日)21:00から放送スタート。初回は第1話と2話を連続放送。以後、毎週日曜日21:00〜22:00ほかで放送される(全9話)。
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