ロバート・カークマンの大人気コミックを原作に、ゾンビがはびこる世界の恐怖を描く「ウォーキング・デッド」。元保安官のリック、クロスボウの使い手ダリルら、生存者たちが絶望の中でゾンビの脅威と戦い、生と死の狭間を歩み続ける本作は、米ケーブルテレビ史上最高の視聴者数を記録した傑作サバイバル・ドラマだ。
全米のみならず世界中を熱狂的させ続ける理由は、登場人物たちが繰り広げる極限の人間ドラマにあり。ゾンビとの戦いの中でたくましさを身につけ、愛や友情を芽生えさせていく彼らの物語は、登場人物たちの愛すべき個性もあって誰もが目の離せない展開へと向かっている。さらには、ゾンビという最大の脅威を掲げながら、真の恐怖と人間性の崩壊を問う深遠さもストーリーを味わい深くしているところ。人間を噛みちぎるゾンビよりも恐ろしいものとは何なのか？　生か死かのシンプルな世界で浮き彫りになる人間と人間の物語、理性と欲望の戦いが、それを容赦なく突きつけてくる。

精鋭たちが作り上げる、圧巻の作品世界

映画『ターミネーター』や『エイリアン』シリーズなどで知られる敏腕プロデューサー、ゲイル・アン・ハードや原作者のロバート・カークマン自らが製作総指揮に名を連ねるなど、強力な製作陣が集結。シーズン4からショーランナー（番組責任者）を務めるスコット・M・ギンプル（映画『ゴーストライダー2』の脚本家）らの手により、ドラマティックなストーリーとハイレベルな映像世界が生み出されている。そのクオリティに魅了されているのは視聴者だけでなく業界関係者や評論家も同様で、ゴールデン・グローブ賞の作品賞にノミネートされたことも。また、特殊メイクの第一人者グレッグ・ニコテロ入魂のゾンビたちもリアルで、エミー賞のメイクアップ賞を2年連続で受賞している。

リックたちが穏やかに暮らせる日は来るのか？

そもそもリックらが救世主たちとの戦いを強いられた背景には、アレクサンドリアの食料難がある。食料が底をつき始め、長期的な解決策が求められる中、リックは物資豊かな生活を営むコミュニティ、ヒルトップの存在を知る。だが、ヒルトップは救世主たちに搾取されており、リックらはヒルトップから食料をもらう代わりに、救世主たちを一網打尽にするという作戦を敢行。その戦いの末、シーズン6最終話の凄惨な展開に見舞われていた。ニーガンの鉄槌を逃れた者たちは、彼の支配下に置かれてしまうのか？　それとも、食料を調達してまた元の暮らしに戻れるのか？　「ウォーキング・デッド」の世界に、やはり安住の時が訪れることはしばらくなさそうだ。