ジャパニーズゲームショー「マジで!?」神田瀧夢インタビュー [その2]

神田瀧夢インタビュー [その1]からのつづき



Q　この番組はなぜこれほどアメリカで人気を得ることができたのでしょうか?

当時、アメリカのSPIKE TVで「風雲!たけし城」や「筋肉番付」といった日本の番組が放送されはじめて、オタクの間ではちょっとしたブームになってたんです。そういった日本の“ゲーム・ショー”をアメリカ人にやらせるという企画が面白かった。さらに、わけのわからない日本人が現れて「マジで～!?」って言いながら司会をするのも受けたんだと思います。アメリカのネットワーク局のプライムタイムで、英語が母国語ではない外国人が、アクセントのある英語をしゃべって司会すること自体、ものすごく画期的なことで、そこをとても面白いと思ってもらえたんだと思います。

Q　神田さんのセリフはきちんとした台本があったのでしょうか?

僕のセリフはちゃんと脚本家たちが書いた台本があるんです。でも、台本はしょっちゅう変わるので、臨機応変に対応しなくちゃいけませんでした。しかも、台本に「ここは日本語で」と書かれているところは、自分で日本語に訳してしゃべらないといけない。さらに、出場者が何を言い出すか分からないので、実際にはアドリブも多かったです。実は、世界各国からファンレターをもらうんです。ウクライナ、ロシア、チェコ、ブラジル、チリ、シンガポール……ありとあらゆる国の人からです。番組の放送権は世界140ヶ国に売れたそうで、特にヨーロッパやアジアではかなりヒットしたようです。日本人の僕がアメリカ人をいじってるのが面白いと思って見た人もいっぱいいるんじゃないでしょうか。

Q　この番組はあまりにも面白くできているので、ところどころ仕込みやヤラセがあるのではないかと思ってしまったのですが、そのあたりはいかがでしょうか?

それが仕込みやヤラセは一切ナシなんです。すべてガチンコです。すべてが本気(マジ)なんです。この番組に出て、アメリカ人は普通のおばちゃんでも芸人さんかと思うぐらい、リアクションがすごく大きくて、テンションが高いってことがよく分かりました(笑)。しかも、万一ゲームで不正をして勝つ人が出てきたら問題になるということで、毎回スーツ姿の弁護士が見張っていたんですよ!　なにせゲームの賞金は25万ドルですから。

Q　外国に行ったこともないという一般的なアメリカ人だと、パスポートも持っていないだろうし、いきなり日本に行けるのか疑問に思っていたんですが……。

番組に応募して最終選考に残ったら、まずホテルに缶詰にされるんです。そこで、パスポートや免許証、携帯電話、PCなどを預けること、1ヶ月ぐらい家族に会えないことに同意する契約書にサインさせられるんです。そこからまたそれぞれキャラクターなどを見られて、出演者として10人が選ばれます。そして、その10人がバスに乗せられて空港に連れていかれるというわけです。だから、「これからどこに行くと思いますか?　日本です!」「ウォーッ!!」っていう、出場者の歓喜と驚きの叫び声は本物なんです。シーズン2になると、応募者はみんな日本に行くことは知っているので、出場者に選ばれたことを僕が直接本人に知らせにいくというドッキリ演出をしています。それもガチでヤラセは一切ナシなんです。だから面白いんですよね。唯一、ヤラセがあるとしたら、「マジで!?」っていう番組は、実際には日本にないってことですよね(笑)。

Q　アメリカの視聴者は「マジで!?」を本物の日本の番組だと思って見ていたのでしょうか?

アメリカ人はほとんどの人が日本の番組だと信じていたと思いますよ。だから、日本人を見つけると「マジで!?」って番組のポーズをしたりする人が続出しました。でも、日本人はそんな番組なんて知らないからぽかんとしてしまいますよね。でも、これからは日本人も、海外で外国人と友達になろうと思ったら、「マジで!?」って言えばいいんですよ(笑)!　ちなみに、「はーい、マジで!?」っていう番組のキメ言葉とポーズは、僕のアイディアなんです。僕がいろいろとアイディアを出すと、「面白い、面白い」って言って使ってくれる。アメリカの番組はそういうクリエイティブなところがあって有り難いですね。

Q　アメリカではこのような一般人参加型のリアリティ番組がとても人気ですが、その理由は何でしょう?

一般人を出すリアリティ番組のほうがドラマを作るより製作費が安い、しかも視聴率を稼げるということでしょう。ですから、TV局もこのようなリアリティ番組をいっぱい作っていますね。なかでも、この「ジャパニーズゲームショー『マジで!?』」は、番組の構成上、パイロットなしでいきなりシリーズ化というめずらしいケースでしたが、大きな成功を収めることができました。

Q　今後も、神田さんはハリウッドで仕事を続けていかれるのですか?

この番組が成功して、僕のところにはこうした類のTV番組からオファーがいっぱい来るようになりました。「ジャパニーズゲームショー『マジで!?』」はルーマニアでも放送されていたんですが、今度、ルーマニアでも自分のショーを持つことになったんですよ。今、僕はたまたま東京にいるけれど、拠点は地球。最近ではハリウッドでアジア人も活躍できる時代になってきたので、日本人として頑張ってやっていきたいなと思っています。


子供から大人まであらゆる世代に大人気となった「ジャパニーズゲームショー『マジで!?』」。自分が応援できる出場者を決めて見ていくのもよし、アメリカが日本をどのように見ているかということを知って楽しむのもよし。最後に、「この番組で日本の若い世代がアメリカだけでなく海外に目を向けるきっかけになってもらえれば」と熱く語ってくださった神田瀧夢さん。彼が日本と世界をつないだ画期的な番組「ジャパニーズゲームショー『マジで!?』」に注目だ。

(取材・文: 小酒 真由子)

■「ジャパニーズゲームショー『マジで!?』」
3月20日(火)　19時スタート～
毎週火曜　19:00～19:54、20:00～21:00 放送 (2回連続放送)

■BS新チャンネル
Dlife(チャンネル番号:BS258)は、3月17日(土)に開局する、女性のライフスタイルを意識した新しいコンセプトのBS新チャンネル。ディズニー社傘下で、アメリカ4大ネットワークの一つABCの作品を中心に、世界のさまざまな番組をすべて無料で放送する。
※公式サイト:Dlife.jp