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Netflix「ザ・ランチ」アシュトン・カッチャー&ダニー・マスターソン インタビュー! 本作は「シットコムの習慣を破る」意欲作
2016年4月6日
アシュトン・カッチャー(右)&ダニー・マスターソン(右) © Netflix. All Rights Reserved.
4月1日より、Netflixオリジナルコメディ「ザ・ランチ」が全世界で配信スタート。「ザット’70sショー」の成功から10年、アシュトン・カッチャーとダニー・マスターソンが、再び共演した本作は、フットボールプレーヤーとしての夢に破れたコルト(演:カッチャー)が故郷のコロラドに戻り、家族が経営する牧場を手伝う姿を面白おかしく描く。アシュトンとダニーは本作で、「シットコムの習慣を破る挑戦をした」と、TCAツアーでのインタビューで語った。
インタビュー部屋に揃って登場したアシュトンとダニーは、和やかな雰囲気で我々に挨拶。過去に来日経験もあるアシュトンは、「コンニチハ」と日本語も披露。続けて、「数も数えられるよ」と「イチニサン、シゴロク、シチハチクジュウ」と10まで数え、スタートから我々を驚かせてくれた。
アシュトンとダニーは本作で兄弟を演じているが、2人はエグゼクティブプロデューサーとして製作面でも大きな存在感を発揮。番組製作者としての顔も覗かせたインタビューでは、Netflixだからこそ実現できた製作裏話に加え、シットコムで活躍を続けている2人が本作に懸けた想いを明かしてくれた。
――Netflixのオリジナル・シリーズということで、クリエイティブな自由があったとおっしゃっていましたが、具体的に教えてください
カッチャー:ご存知の通り、シットコムはテレビ史上もっとも古いジャンルのひとつです。シットコムの歴史を振り返ると、初期に少し変化があったものの、その後はほとんど同じスタイルで続いています。成功モデルができてからは、それに忠実に、作って作って作り続けてきました。マルチカメラのシットコムを作ってきた人々は、伝統を受け継いでいる人々です。ずっとこの方法でやってきて、自分の先人も同じようになってきたのだから、自分もこの方法でやるんだ、と。
僕たちがこのシリーズを作るにあたり、企画を持ち込んだのはNetflixだけでした。違うことを試したかったからです。Netflixの環境が、まさに適していると感じました。例えば照明です。従来のシットコムとは違う照明を意識的に選びました。なぜ、シットコムの照明はこうなんだろうと問い直した結果、単に受け継がれた伝統だったからということがわかったのです。各場面に音楽を流すようにしました。過去のシットコムでは、なぜやらなかったのか?なぜなら、予算が合わなかったから。台詞には、広告主の意向に沿うような言い回しではなく、実際に会話に使われるような言葉を選ぶようにしました。なぜ、今までやらなったのか? 広告主を意識しなければならなかったから。また、従来のシットコムは22~26分ですが、今回は時間の制限がないために、もっと物語にドラマを盛り込み、深く語ることができたのです。Netflixは僕たちに、こうしたことを試す自由を与えてくれました。僕たちの意図は、古いフォーマットを打ち破り、改良し、新しい視聴者に向けて、新しく作り直すことでした。
――「ザ・ランチ」にはサム・エリオットやデブラ・ウィンガーなどが出演しています。お2人はキャスティングにも深く関わられたのですか?
マスターソン:はい。過去2年間、この企画を実現するために、あらゆる面で議論を続けてきました。最初の課題は、両親役として素晴らしい俳優をつけることでした。面白いコメディ俳優である必要はなく、いたって硬く、大胆不敵な“バッドアス”俳優を求めていたのです。史上ナンバー1のカウボーイといえば?サム・エリオットしかいないでしょう。完璧なチョイスでした。僕たちは彼の周りを動き回りながら、彼の生真面目ぶりを生かすことができたのです。
――エリオットは出演を快諾したのですか?
カッチャー&マスターソン:懇願しました。何度も断られました。
カッチャー:何度も戻って、僕たちを信じてください、と。
マスターソン:やるしかないんです、と。
カッチャー:これは、今までのほかのシットコムとは違うんです、と。
マスターソン:僕たちがサポートします、と。(エリオットは)コメディなんてやったことないと、心配していたのです。だから、信じてください、サポートします、と。
カッチャー:とにかく、ダニーが押しまくりました。素晴らしい俳優が必要なのだ、自分たちを素晴らしい俳優で囲むのだ、と。僕たちはシットコムを知っているし、シットコムのリズムを教えられるので。
マスターソン:ほかにも有名な俳優が名乗り出てくれましたが、ベストな選択をしたかったのです。
カッチャー:今までの慣習を破る、すべての試みの理由でもあるのですが、従来のシットコムをテレビで見ているときに、面白ければ、細かい部分がリアルでなくても目をつぶる、というように信ぴょう性を重要視しないことがあります。
マスターソン:視聴者のためではなく、観客のためにパフォーマンスするということも。
カッチャー:でも、今回のシリーズは、「ハウス・オブ・カード」や「ナルコス」など、本当に信ぴょう性のあるNetflixのオリジナル・シリーズと並ぶわけなので、自分たちも信ぴょう性のある作品を送り出さなければならないと思っていました。慣習を破って挑戦したすべての試みは、信ぴょう性のある作品にするための努力もであったのです。それは、キャスティングにおいても同じです。
――お2人は、「ザット‘70sショー」で共演しましたね。一緒にまた、シットコムで共演する気分は? 過去の共演の影響はありますか?
マスターソン:そうですね。「ザット‘70sショー」で8年共演した後、アシュトンは「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ」、私は「メン・アット・ワーク」など、それぞれの仕事をしながら、過去10年間、2人が共演できるプロジェクトと機会を狙っていました。「ザット ‘70sショー」で、僕たちの相性はとてもよかったからです。特に、ハイドとケルソーのシーンですが。もちろん、いい友達だというのもありますが、僕がコメディで得意とするものと、彼がコメディで得意とするものの相性が合うのです。パフォーマンスの方向性が完全に逆なので、いいチームになれるのです
カッチャー:過去10年の間に、いくつかのアイデアを思いつきましたが、これといったものがありませんでした。「‘70sショー」では友達同士を演じましたが、今回は兄弟なので、もう少し複雑な関係になっています。友達は選べるけれど、家族は選べないですから、キャラクター同士がより強く、違った形で衝突することになります。そして、このシリーズの魅力は、家族の話であるということです。どこか機能不全で、何かがうまくいっておらず、どこにでもある家族。私たちは皆、何らかの形で機能不全な家族を持っているものです。また、このシリーズで取り上げたいテーマとして……特に今の社会では、子供が育ち、カレッジに行き、学位をとり、キャリアを探すも見つからず……、突然、大変だ、生きていけない! 両親のもとに戻る羽目になる!という究極の恐怖に襲われる――。このシリーズはそのアイデアを中心に展開するものでもあります。そういった意味で、このシリーズは、恐怖の物語であり、ハートとラブの物語であり、互いにつながり合い、ぶつかり合い、サバイブする“家族”という集合体の物語なのです。私たちはともにそのアイデアに魅かれ、これはやるしかない、と思ったのです。
――なぜランチを舞台にしたのですか?
マスターソン:うーん、なんでなんでしょう(一同爆笑)。人々は牧場主の仕事観に共感しやすいのかもしれませんね。オフィスが舞台の作品は何百万回も作られており、エージェンシーで働く2人の男を描くというのもパッとしない。このシリーズは、重労働と家族経営ビジネスであるところがポイントなのです。
カッチャー:これまで、テレビで見たことのないようなシリーズです。人々は、自分がまったく知識のない分野の専門家に興味があるものです。「ザ・ランチ」では、最初のエピソードで、子牛が届けられるシーンがあります。そんなの一体、どれだけの人が見たことありますか?でも、人々が毎日コーヒーを飲むのと同じように、ランチでは毎日、起こることなのです。人は、おかしな専門家を見たいのです。アメリカの小さな田舎町にある、その町なりの価値観。冒険に出たのちに、田舎の故郷に出戻る男。視聴者は、そういった彼らを笑いものにする番組しか見たことがないと思います。小さな田舎町の人が登場する番組は決まって、最終的に田舎者を笑いものにします。「ザ・ランチ」は、彼らを笑いものにするのではなく、一緒に笑うものです。そして、人間、家族、葛藤と……みんな同じものを抱えているのだと気づくのです。
――お2人ともコメディ歴が長く、たくさんの作品に出演していますが、コメディがうまくいったと感じるのは、どんなときですか?
マスターソン:何かを見ていて、「あ、これ面白い」と思ったら、そのときに、それが面白いのだということがわかりますよね。
カッチャー:自分が面白いかどうかを図るのは難しいですよね。他人が面白いかどうかはわかりやすいけれど。
マスターソン:そうだね。アシュトンが面白いかどうか、僕にはわかるからね。
カッチャー:幸いなことに、僕たちは長年の仲なので、お互いにはっきり言い合えるんです。こうしてみろ、あれを試せと、アドバイスし合える。ライブ観客がいてくれるのも助かります。面白いかどうか教えてくれますから。僕たちが面白くなければ、笑いませんからね。
マスターソン:面白くなければ、僕たちはトラブルに陥りますよ。
カッチャー:最初は慣習を破るスタイルとして、ライブ観客を置かないつもりだったのですが、ライブ観客がいると活力と信ぴょう性が生まれ、僕たちがよりよいパフォーマンスをできるようになるのです。なので、ライブ観客を置くことにしました。観客は、コメディがうまくいっているかどうかを図るバロメーターになってくれていると思います。
――観客の反応によって発見することもあるのですよね?
カッチャー:しょっちゅうです。観客によって違うポイントでウケたり。一体どこが面白いんだろう?というところで、すごく笑っていたり。逆に、こっちが最高に面白いと思ってやることに、全然笑わなくて、ジョークわかんないの?とか。もどかしい部分もありますが、結局のところ、商業において消費者がいつも正しい、というように、シットコムでは観客がいつも正しいのです。
マスターソン:どんなに天才的なジョークでも、観客が面白いと思わなかったら、消されます。そして、新しいジョークを書いて、また、同じシーンを撮りなおすのです。
カッチャー: 同じ台詞を、違った形で言うとウケることもありますが。
――「ザ・ランチ」においては、ライブ観客の反応はどうでしたか?
カッチャー:番組を見ていれば、(観客の笑い声が)聞こえますよ。
マスターソン:ただ、視聴者に聞こえる笑いは“桜の笑い”(ここでは、“編集された笑い”という意味)というものです。収録中に、ジョークを言うと、観客は3、5、8秒間……と笑いますが、編集ではそれを2秒ほどにカットします。でないと1話が45分になってしまうこともあり得ますから。長い大爆笑でも、編集後は「はははははー」となります。でも、実際のリアクションなのです。
カッチャー:観客の笑いが収録されている間に、僕たちの台詞も別のトラックに収録されています。編集の段階で、観客の笑いを差し込むのです。
――第1話で雨降りのシーンがありますが、どのように撮影したのですか?
マスターソン:屋外セットのあちこちにスプリンクラーが設置され、僕たちもずぶ濡れになりました。
カッチャー:繰り返しになりますが、これもシットコムの慣習を破った例のひとつです。同シリーズの舞台はランチで、登場人物たちは常に屋外で働いているので、その要素を考慮しなければなりません。次シーズンで設定が冬になれば、雪が必要なのです。完全にシットコムの慣習を打ち破っているのです。
――アメリカのコメディが、国境を越えて異文化で受け入れられるのは難しいという意見が多くあります。私は作品によると思っているのですが。「ザ・ランチ」を見たことのない日本の観客へのメッセージはありますか?
カッチャー:とにかく、このシリーズは(今までに見てきたものとは)違うと思います。多くのコメディはジョークに頼りながら進行しますが、「ザ・ランチ」はキャラクター、人々、関係性についての物語です。人間関係や人々についてのコメディは、世界中で受け入れられると思います。この作品では、登場人物のなかに、誰もが自分自身を見ることができると思います。自身の恐怖や興奮、期待、愛を。そこには、70歳の男性と、別居している妻の、とても興味深い関係性が出てきます。一緒に住んでいないけれど、まだ愛し合っているのです。実家に戻り、高校時代の恋人に再び恋する男が出てきます。でも、彼女には恋人がいるのです。こういった関係性のテーマは、たとえジョークが国境を越えなかったとしても、視聴者がキャラクターに共感できるため、うまく進行していくものなのです。そこには兄弟の関係もあります。兄は、弟が家族を捨て、自分に家族のことをすべて押し付けたと思っていたら、今度はその弟が帰ってきて、再びヒーローになったと感じる。2人の息子と父の関係もあります。兄弟、親、家族、恋人……といった関係性のテーマは、世界中のどこで生まれ育ったとしても共感できるもので、そこで生まれる感情は言葉を超えるのです。
(終わり)
■公開情報
Netflixオリジナルドラマ「ザ・ランチ」
Netflixにて好評独占ストリーミング中!
© Netflix. All Rights Reserved.
■Netflixについて
世界最大級のオンラインストリーミングサービス。190以上の国で7500万人のメンバーが利用している。オリジナルコンテンツ、ドキュメンタリー、長編映画など、1日1億2500万時間を超える映画やドラマを配信。
メンバーはあらゆるインターネット接続デバイスで、好きな時に、好きな場所から、好きなだけオンライン視聴可能す。コマーシャルや契約期間の拘束は一切なく、思いのままに再生、一時停止、再開することができる。
・公式サイト : Netflix.com/jp
・公式ツイッター : @NetflixJP
・公式フェイスブック : facebook.com/netflixjp
・公式チャンネル : youtube.com/c/NetflixJP
インタビュー部屋に揃って登場したアシュトンとダニーは、和やかな雰囲気で我々に挨拶。過去に来日経験もあるアシュトンは、「コンニチハ」と日本語も披露。続けて、「数も数えられるよ」と「イチニサン、シゴロク、シチハチクジュウ」と10まで数え、スタートから我々を驚かせてくれた。
アシュトンとダニーは本作で兄弟を演じているが、2人はエグゼクティブプロデューサーとして製作面でも大きな存在感を発揮。番組製作者としての顔も覗かせたインタビューでは、Netflixだからこそ実現できた製作裏話に加え、シットコムで活躍を続けている2人が本作に懸けた想いを明かしてくれた。
――Netflixのオリジナル・シリーズということで、クリエイティブな自由があったとおっしゃっていましたが、具体的に教えてください
カッチャー:ご存知の通り、シットコムはテレビ史上もっとも古いジャンルのひとつです。シットコムの歴史を振り返ると、初期に少し変化があったものの、その後はほとんど同じスタイルで続いています。成功モデルができてからは、それに忠実に、作って作って作り続けてきました。マルチカメラのシットコムを作ってきた人々は、伝統を受け継いでいる人々です。ずっとこの方法でやってきて、自分の先人も同じようになってきたのだから、自分もこの方法でやるんだ、と。
僕たちがこのシリーズを作るにあたり、企画を持ち込んだのはNetflixだけでした。違うことを試したかったからです。Netflixの環境が、まさに適していると感じました。例えば照明です。従来のシットコムとは違う照明を意識的に選びました。なぜ、シットコムの照明はこうなんだろうと問い直した結果、単に受け継がれた伝統だったからということがわかったのです。各場面に音楽を流すようにしました。過去のシットコムでは、なぜやらなかったのか?なぜなら、予算が合わなかったから。台詞には、広告主の意向に沿うような言い回しではなく、実際に会話に使われるような言葉を選ぶようにしました。なぜ、今までやらなったのか? 広告主を意識しなければならなかったから。また、従来のシットコムは22~26分ですが、今回は時間の制限がないために、もっと物語にドラマを盛り込み、深く語ることができたのです。Netflixは僕たちに、こうしたことを試す自由を与えてくれました。僕たちの意図は、古いフォーマットを打ち破り、改良し、新しい視聴者に向けて、新しく作り直すことでした。
――「ザ・ランチ」にはサム・エリオットやデブラ・ウィンガーなどが出演しています。お2人はキャスティングにも深く関わられたのですか?
マスターソン:はい。過去2年間、この企画を実現するために、あらゆる面で議論を続けてきました。最初の課題は、両親役として素晴らしい俳優をつけることでした。面白いコメディ俳優である必要はなく、いたって硬く、大胆不敵な“バッドアス”俳優を求めていたのです。史上ナンバー1のカウボーイといえば?サム・エリオットしかいないでしょう。完璧なチョイスでした。僕たちは彼の周りを動き回りながら、彼の生真面目ぶりを生かすことができたのです。
サム・エリオット(右)、デブラ・ウィンガー(右) © Netflix. All Rights Reserved.
――エリオットは出演を快諾したのですか?
カッチャー&マスターソン:懇願しました。何度も断られました。
カッチャー:何度も戻って、僕たちを信じてください、と。
マスターソン:やるしかないんです、と。
カッチャー:これは、今までのほかのシットコムとは違うんです、と。
マスターソン:僕たちがサポートします、と。(エリオットは)コメディなんてやったことないと、心配していたのです。だから、信じてください、サポートします、と。
カッチャー:とにかく、ダニーが押しまくりました。素晴らしい俳優が必要なのだ、自分たちを素晴らしい俳優で囲むのだ、と。僕たちはシットコムを知っているし、シットコムのリズムを教えられるので。
マスターソン:ほかにも有名な俳優が名乗り出てくれましたが、ベストな選択をしたかったのです。
カッチャー:今までの慣習を破る、すべての試みの理由でもあるのですが、従来のシットコムをテレビで見ているときに、面白ければ、細かい部分がリアルでなくても目をつぶる、というように信ぴょう性を重要視しないことがあります。
マスターソン:視聴者のためではなく、観客のためにパフォーマンスするということも。
カッチャー:でも、今回のシリーズは、「ハウス・オブ・カード」や「ナルコス」など、本当に信ぴょう性のあるNetflixのオリジナル・シリーズと並ぶわけなので、自分たちも信ぴょう性のある作品を送り出さなければならないと思っていました。慣習を破って挑戦したすべての試みは、信ぴょう性のある作品にするための努力もであったのです。それは、キャスティングにおいても同じです。
――お2人は、「ザット‘70sショー」で共演しましたね。一緒にまた、シットコムで共演する気分は? 過去の共演の影響はありますか?
マスターソン:そうですね。「ザット‘70sショー」で8年共演した後、アシュトンは「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ」、私は「メン・アット・ワーク」など、それぞれの仕事をしながら、過去10年間、2人が共演できるプロジェクトと機会を狙っていました。「ザット ‘70sショー」で、僕たちの相性はとてもよかったからです。特に、ハイドとケルソーのシーンですが。もちろん、いい友達だというのもありますが、僕がコメディで得意とするものと、彼がコメディで得意とするものの相性が合うのです。パフォーマンスの方向性が完全に逆なので、いいチームになれるのです
カッチャー:過去10年の間に、いくつかのアイデアを思いつきましたが、これといったものがありませんでした。「‘70sショー」では友達同士を演じましたが、今回は兄弟なので、もう少し複雑な関係になっています。友達は選べるけれど、家族は選べないですから、キャラクター同士がより強く、違った形で衝突することになります。そして、このシリーズの魅力は、家族の話であるということです。どこか機能不全で、何かがうまくいっておらず、どこにでもある家族。私たちは皆、何らかの形で機能不全な家族を持っているものです。また、このシリーズで取り上げたいテーマとして……特に今の社会では、子供が育ち、カレッジに行き、学位をとり、キャリアを探すも見つからず……、突然、大変だ、生きていけない! 両親のもとに戻る羽目になる!という究極の恐怖に襲われる――。このシリーズはそのアイデアを中心に展開するものでもあります。そういった意味で、このシリーズは、恐怖の物語であり、ハートとラブの物語であり、互いにつながり合い、ぶつかり合い、サバイブする“家族”という集合体の物語なのです。私たちはともにそのアイデアに魅かれ、これはやるしかない、と思ったのです。
――なぜランチを舞台にしたのですか?
マスターソン:うーん、なんでなんでしょう(一同爆笑)。人々は牧場主の仕事観に共感しやすいのかもしれませんね。オフィスが舞台の作品は何百万回も作られており、エージェンシーで働く2人の男を描くというのもパッとしない。このシリーズは、重労働と家族経営ビジネスであるところがポイントなのです。
カッチャー:これまで、テレビで見たことのないようなシリーズです。人々は、自分がまったく知識のない分野の専門家に興味があるものです。「ザ・ランチ」では、最初のエピソードで、子牛が届けられるシーンがあります。そんなの一体、どれだけの人が見たことありますか?でも、人々が毎日コーヒーを飲むのと同じように、ランチでは毎日、起こることなのです。人は、おかしな専門家を見たいのです。アメリカの小さな田舎町にある、その町なりの価値観。冒険に出たのちに、田舎の故郷に出戻る男。視聴者は、そういった彼らを笑いものにする番組しか見たことがないと思います。小さな田舎町の人が登場する番組は決まって、最終的に田舎者を笑いものにします。「ザ・ランチ」は、彼らを笑いものにするのではなく、一緒に笑うものです。そして、人間、家族、葛藤と……みんな同じものを抱えているのだと気づくのです。
――お2人ともコメディ歴が長く、たくさんの作品に出演していますが、コメディがうまくいったと感じるのは、どんなときですか?
マスターソン:何かを見ていて、「あ、これ面白い」と思ったら、そのときに、それが面白いのだということがわかりますよね。
カッチャー:自分が面白いかどうかを図るのは難しいですよね。他人が面白いかどうかはわかりやすいけれど。
マスターソン:そうだね。アシュトンが面白いかどうか、僕にはわかるからね。
カッチャー:幸いなことに、僕たちは長年の仲なので、お互いにはっきり言い合えるんです。こうしてみろ、あれを試せと、アドバイスし合える。ライブ観客がいてくれるのも助かります。面白いかどうか教えてくれますから。僕たちが面白くなければ、笑いませんからね。
マスターソン:面白くなければ、僕たちはトラブルに陥りますよ。
カッチャー:最初は慣習を破るスタイルとして、ライブ観客を置かないつもりだったのですが、ライブ観客がいると活力と信ぴょう性が生まれ、僕たちがよりよいパフォーマンスをできるようになるのです。なので、ライブ観客を置くことにしました。観客は、コメディがうまくいっているかどうかを図るバロメーターになってくれていると思います。
――観客の反応によって発見することもあるのですよね?
カッチャー:しょっちゅうです。観客によって違うポイントでウケたり。一体どこが面白いんだろう?というところで、すごく笑っていたり。逆に、こっちが最高に面白いと思ってやることに、全然笑わなくて、ジョークわかんないの?とか。もどかしい部分もありますが、結局のところ、商業において消費者がいつも正しい、というように、シットコムでは観客がいつも正しいのです。
マスターソン:どんなに天才的なジョークでも、観客が面白いと思わなかったら、消されます。そして、新しいジョークを書いて、また、同じシーンを撮りなおすのです。
カッチャー: 同じ台詞を、違った形で言うとウケることもありますが。
アシュトン・カッチャー © Netflix. All Rights Reserved.
――「ザ・ランチ」においては、ライブ観客の反応はどうでしたか?
カッチャー:番組を見ていれば、(観客の笑い声が)聞こえますよ。
マスターソン:ただ、視聴者に聞こえる笑いは“桜の笑い”(ここでは、“編集された笑い”という意味)というものです。収録中に、ジョークを言うと、観客は3、5、8秒間……と笑いますが、編集ではそれを2秒ほどにカットします。でないと1話が45分になってしまうこともあり得ますから。長い大爆笑でも、編集後は「はははははー」となります。でも、実際のリアクションなのです。
カッチャー:観客の笑いが収録されている間に、僕たちの台詞も別のトラックに収録されています。編集の段階で、観客の笑いを差し込むのです。
――第1話で雨降りのシーンがありますが、どのように撮影したのですか?
マスターソン:屋外セットのあちこちにスプリンクラーが設置され、僕たちもずぶ濡れになりました。
カッチャー:繰り返しになりますが、これもシットコムの慣習を破った例のひとつです。同シリーズの舞台はランチで、登場人物たちは常に屋外で働いているので、その要素を考慮しなければなりません。次シーズンで設定が冬になれば、雪が必要なのです。完全にシットコムの慣習を打ち破っているのです。
――アメリカのコメディが、国境を越えて異文化で受け入れられるのは難しいという意見が多くあります。私は作品によると思っているのですが。「ザ・ランチ」を見たことのない日本の観客へのメッセージはありますか?
カッチャー:とにかく、このシリーズは(今までに見てきたものとは)違うと思います。多くのコメディはジョークに頼りながら進行しますが、「ザ・ランチ」はキャラクター、人々、関係性についての物語です。人間関係や人々についてのコメディは、世界中で受け入れられると思います。この作品では、登場人物のなかに、誰もが自分自身を見ることができると思います。自身の恐怖や興奮、期待、愛を。そこには、70歳の男性と、別居している妻の、とても興味深い関係性が出てきます。一緒に住んでいないけれど、まだ愛し合っているのです。実家に戻り、高校時代の恋人に再び恋する男が出てきます。でも、彼女には恋人がいるのです。こういった関係性のテーマは、たとえジョークが国境を越えなかったとしても、視聴者がキャラクターに共感できるため、うまく進行していくものなのです。そこには兄弟の関係もあります。兄は、弟が家族を捨て、自分に家族のことをすべて押し付けたと思っていたら、今度はその弟が帰ってきて、再びヒーローになったと感じる。2人の息子と父の関係もあります。兄弟、親、家族、恋人……といった関係性のテーマは、世界中のどこで生まれ育ったとしても共感できるもので、そこで生まれる感情は言葉を超えるのです。
(終わり)
夢を諦めた男が、実家の牧場(ランチ)経営を手伝うと…。アシュトン・カッチャー&ダニー・マスターソンの仲良しコンビが贈る、Netflixオリジナルドラマ『ザ・ランチ』本日より独占配信スタート! #ネトフリhttps://t.co/5Vz8KDUXGe
— Netflix Japan (@NetflixJP) 2016年4月1日
■公開情報
Netflixオリジナルドラマ「ザ・ランチ」
Netflixにて好評独占ストリーミング中!
© Netflix. All Rights Reserved.
■Netflixについて
世界最大級のオンラインストリーミングサービス。190以上の国で7500万人のメンバーが利用している。オリジナルコンテンツ、ドキュメンタリー、長編映画など、1日1億2500万時間を超える映画やドラマを配信。
メンバーはあらゆるインターネット接続デバイスで、好きな時に、好きな場所から、好きなだけオンライン視聴可能す。コマーシャルや契約期間の拘束は一切なく、思いのままに再生、一時停止、再開することができる。
・公式サイト : Netflix.com/jp
・公式ツイッター : @NetflixJP
・公式フェイスブック : facebook.com/netflixjp
・公式チャンネル : youtube.com/c/NetflixJP
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