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【NETFLIXアメリカ本社突撃記(インタビュー編その3)】ヒット連発のカラクリ暴露! 次なる野望は、各国対抗オリジナルスポーツ番組での頂点
2016年6月13日
カギを握るのはこの男… / WENN.com
ストリーミングサービスの黒船として日本に上陸したNETFLIXだが、同時に自社で制作したオリジナル作品を次々と公開し、そこでも高い評価を得ている。「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」といったドラマ作品では、テレビ界のアカデミー賞ともいわれるエミー賞を獲得。これらの作品は、いわばNETFLIXを支える大きな“柱”となっているが、こうした良作はどうやって生まれるのか、インターナショナルオリジナルコンテンツ バイス・プレジデントを務めるエリック・バーマック氏と、同部門に属し、特にアジアのコンテンツに責任を持つデイビッド・リー氏の話をうかがった。
――映画級ドラマを連発! NETFLIX流オリジナルコンテンツの作り方
昨年9月に日本でサービスを開始して以来、「アンダーウェア」、「グッドモーニング・コール」といった話題作を次々と世に送り出してきたNETFLIX。今年6月には、又吉直樹のベストセラー小説をもとにした「火花」の独占配信をスタートし、ますます話題を呼んでいる。今作はこれまでいくつものオリジナルコンテンツを生み出してきたバーマックらにとっても、「新しい試みだった」という。
「オリジナルコンテンツを作る上で、いくつか大切にしているポイントがあります。まず、新しい物語の伝え方、ストーリーを探すこと」と語る通り、「火花」は取り組みとして新しいストーリーに当たるのだという。
また、NETFLIXはオリジナルコンテンツを作るにあたって、「映画監督と仕事をすることが多」く、感覚としても「8~10時間の映画を作る」ということが念頭にあるのだそう。実際、「火花」を担当した廣木隆一監督は、「オオカミ少女と黒王子」(2016)、「娚の一生」(2015)といった原作を持つ映画作品を数多く手掛けて、「ヴァイブレータ」(2003)、「東京ゴミ女」(2000)といった作品での受賞歴を持つことに加え、海外での評価も高いという逸材だ。総監督である廣木監督を中心に作られた「火花」は、原作者である又吉からもお墨付きをもらったという。
――「火花」を世界へ! 国境を越えた作品づくり
ドラマ「火花」は日本国内のコンテンツ(小説)を、日本人監督・キャストを用いて映像化した作品だが、国内向けに配信を開始すると同時に、世界中のNETFLIXユーザーに向けても配信されている。「いままでのテレビとは違うことがしたい」「でも原作に忠実に」という理念に沿って作られた本作は、「ドラマというより、約10時間に及ぶ映画のようだ」という。
海外配信にとって、重要なポイントとなるのが「字幕か、吹替か」という問題。ここにもNETFLIXは充分に気を払っており、「両方作るか、もしくは字幕のみ・吹替のみか」という基準は、タイトル次第なのだという。
たとえば「火花」の場合は、作品内容から海外では「年齢が高く、知識層」が多く観ると予想される。また、漫才という日本独自の文化を扱った内容であることから、「日本語で観てほしい」という意味もあり、字幕版しか作られていないそう。その一方で、同じ日本発のコンテンツでも、「アニメならば、比較的若い視聴者が多く、ファン層も広い」ということから、吹替版を用意するのだという。
――シーズン継続はどう決める? 視聴率以外の評価基準
つい先ごろIndiewireは、NETFLIXのオリジナル作品「フラーハウス」が、驚異的な視聴者数を獲得したことを発表した(Symphony Advanced Media調べ)。NETFLIXは具体的な視聴率などを発表していないが、社内ではもちろん数字は把握されており、各コンテンツの評価基準となり、続編を制作するか否かの決定要素にしているとのことだ。
さらに彼らは、「どれだけの人数が視聴したか」に加え、「何話まで観られたか」「どこで観ているのか」という情報を重要視しているという。特にアニメに関しては、ブラジルやフランス、カナダでのデータを参考にしており、これらの国での動きに「学ぶところは多い」という。またその際に、番組のテイストの違いも、加味されているようだ。
NETFLIXとしては、「基本的には、新しいシーズンをどんどん作っていきたい」という。「成功したショーは続ける。ファンもそれを望んでいますし、ビジネス的にも続いてほしい」というのが彼らの率直な思いであり、大ヒットした「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や、「デアデビル」は実際にシーズンを重ねている。この考え方は、日本発の作品をはじめ、ローカルコンテンツも同様だというが、ただし「火花」に関していうと「(続編は)難しいですね。中編小説が原作なので、10話で完結が適している」とのこと。
――6ヵ国のアスリートが真剣勝負! NETFLIXが送り出す新ジャンルの番組「Ultimate Beastmaster」
「スポーツはやらない」主義を掲げていたNETFLIXが贈る、「娯楽としてのスポーツ」番組が、今月、新たなジャンルのスポーツ番組の制作をスタートする。タイトルは「Ultimate Beastmaster」。映画「ロッキー」シリーズで著名なシルヴェスター・スタローンがプロデュースする、コンペティション番組だ。
【動画】来たれ強者! Beastmasterオーディション告知動画
「Ultimate Beastmaster」は、運動神経自慢の一般人が、難関に挑んで頂点を目指すという内容。本国アメリカ、そして日本に加えて、メキシコ、ブラジル、ドイツ、韓国と6か国をまたにかけ、各国で選ばれた2名のアスリートが、米ロサンゼルスの本戦で競い合うのだという。日本でも参加者を募るオーディションがすでに行われており、番組のコンセプトを彼らにいわせると、「オリンピックのよう」だという。「もし成功すれば大きなチャンス。別のジャンルでも、同じことを世界中でやってみたい」と、かなりの力の入れようだ。
これを布石に、今後はドラマなどの分野でも、日米合作のようなことはあり得るか? この質問に対する答えも、「夢のようなアイディアだけど、同じストーリーを、別の国の俳優でやるなんてどうだろうか」と聞かせてくれた。今年1月からは、世界190ヵ国でサービスを開始しただけあって、野望はとうに世界規模だ。
彼らによれば、現在、世界中で作られているNETFLIXのオリジナルコンテンツは、およそ20シリーズほど。最低12ヵ国での制作が進んでいる。さらに「この数字は、これからどんどん増えていく」とのこと。まずはその第一歩として、「Ultimate Beastmaster」の動向を見守りたい。
「Ultimate Beastmaster」国内ユーザー向け公式サイト
インタビュー編その4に続く
エリック・バーマック
デイビッド・リー
――映画級ドラマを連発! NETFLIX流オリジナルコンテンツの作り方
昨年9月に日本でサービスを開始して以来、「アンダーウェア」、「グッドモーニング・コール」といった話題作を次々と世に送り出してきたNETFLIX。今年6月には、又吉直樹のベストセラー小説をもとにした「火花」の独占配信をスタートし、ますます話題を呼んでいる。今作はこれまでいくつものオリジナルコンテンツを生み出してきたバーマックらにとっても、「新しい試みだった」という。
「オリジナルコンテンツを作る上で、いくつか大切にしているポイントがあります。まず、新しい物語の伝え方、ストーリーを探すこと」と語る通り、「火花」は取り組みとして新しいストーリーに当たるのだという。
また、NETFLIXはオリジナルコンテンツを作るにあたって、「映画監督と仕事をすることが多」く、感覚としても「8~10時間の映画を作る」ということが念頭にあるのだそう。実際、「火花」を担当した廣木隆一監督は、「オオカミ少女と黒王子」(2016)、「娚の一生」(2015)といった原作を持つ映画作品を数多く手掛けて、「ヴァイブレータ」(2003)、「東京ゴミ女」(2000)といった作品での受賞歴を持つことに加え、海外での評価も高いという逸材だ。総監督である廣木監督を中心に作られた「火花」は、原作者である又吉からもお墨付きをもらったという。
「火花」
6月3日より全世界同時配信が開始されたばかり
6月3日より全世界同時配信が開始されたばかり
――「火花」を世界へ! 国境を越えた作品づくり
ドラマ「火花」は日本国内のコンテンツ(小説)を、日本人監督・キャストを用いて映像化した作品だが、国内向けに配信を開始すると同時に、世界中のNETFLIXユーザーに向けても配信されている。「いままでのテレビとは違うことがしたい」「でも原作に忠実に」という理念に沿って作られた本作は、「ドラマというより、約10時間に及ぶ映画のようだ」という。
海外配信にとって、重要なポイントとなるのが「字幕か、吹替か」という問題。ここにもNETFLIXは充分に気を払っており、「両方作るか、もしくは字幕のみ・吹替のみか」という基準は、タイトル次第なのだという。
たとえば「火花」の場合は、作品内容から海外では「年齢が高く、知識層」が多く観ると予想される。また、漫才という日本独自の文化を扱った内容であることから、「日本語で観てほしい」という意味もあり、字幕版しか作られていないそう。その一方で、同じ日本発のコンテンツでも、「アニメならば、比較的若い視聴者が多く、ファン層も広い」ということから、吹替版を用意するのだという。
「ハウス・オブ・カード」
ケヴィン・スペイシー主演、エミー賞受賞作
シーズン5の制作が決定済み
ケヴィン・スペイシー主演、エミー賞受賞作
シーズン5の制作が決定済み
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」
セレブにも多くのファンを持ち、NETFLIX最大の人気作とも
セレブにも多くのファンを持ち、NETFLIX最大の人気作とも
――シーズン継続はどう決める? 視聴率以外の評価基準
つい先ごろIndiewireは、NETFLIXのオリジナル作品「フラーハウス」が、驚異的な視聴者数を獲得したことを発表した(Symphony Advanced Media調べ)。NETFLIXは具体的な視聴率などを発表していないが、社内ではもちろん数字は把握されており、各コンテンツの評価基準となり、続編を制作するか否かの決定要素にしているとのことだ。
さらに彼らは、「どれだけの人数が視聴したか」に加え、「何話まで観られたか」「どこで観ているのか」という情報を重要視しているという。特にアニメに関しては、ブラジルやフランス、カナダでのデータを参考にしており、これらの国での動きに「学ぶところは多い」という。またその際に、番組のテイストの違いも、加味されているようだ。
NETFLIXとしては、「基本的には、新しいシーズンをどんどん作っていきたい」という。「成功したショーは続ける。ファンもそれを望んでいますし、ビジネス的にも続いてほしい」というのが彼らの率直な思いであり、大ヒットした「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や、「デアデビル」は実際にシーズンを重ねている。この考え方は、日本発の作品をはじめ、ローカルコンテンツも同様だというが、ただし「火花」に関していうと「(続編は)難しいですね。中編小説が原作なので、10話で完結が適している」とのこと。
「デアデビル」
人気沸騰中のマーベル原作作品
人気沸騰中のマーベル原作作品
「フラーハウス」
今年2月にデビュー後、絶大な人気を獲得
現在、シーズン2を制作中
今年2月にデビュー後、絶大な人気を獲得
現在、シーズン2を制作中
――6ヵ国のアスリートが真剣勝負! NETFLIXが送り出す新ジャンルの番組「Ultimate Beastmaster」
「スポーツはやらない」主義を掲げていたNETFLIXが贈る、「娯楽としてのスポーツ」番組が、今月、新たなジャンルのスポーツ番組の制作をスタートする。タイトルは「Ultimate Beastmaster」。映画「ロッキー」シリーズで著名なシルヴェスター・スタローンがプロデュースする、コンペティション番組だ。
【動画】来たれ強者! Beastmasterオーディション告知動画
「Ultimate Beastmaster」は、運動神経自慢の一般人が、難関に挑んで頂点を目指すという内容。本国アメリカ、そして日本に加えて、メキシコ、ブラジル、ドイツ、韓国と6か国をまたにかけ、各国で選ばれた2名のアスリートが、米ロサンゼルスの本戦で競い合うのだという。日本でも参加者を募るオーディションがすでに行われており、番組のコンセプトを彼らにいわせると、「オリンピックのよう」だという。「もし成功すれば大きなチャンス。別のジャンルでも、同じことを世界中でやってみたい」と、かなりの力の入れようだ。
これを布石に、今後はドラマなどの分野でも、日米合作のようなことはあり得るか? この質問に対する答えも、「夢のようなアイディアだけど、同じストーリーを、別の国の俳優でやるなんてどうだろうか」と聞かせてくれた。今年1月からは、世界190ヵ国でサービスを開始しただけあって、野望はとうに世界規模だ。
彼らによれば、現在、世界中で作られているNETFLIXのオリジナルコンテンツは、およそ20シリーズほど。最低12ヵ国での制作が進んでいる。さらに「この数字は、これからどんどん増えていく」とのこと。まずはその第一歩として、「Ultimate Beastmaster」の動向を見守りたい。
「Ultimate Beastmaster」国内ユーザー向け公式サイト
インタビュー編その4に続く
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