【LAセットビジット】「サンタクラリータ・ダイエット」製作総指揮ヴィクター・フレスコにインタビュー(その3)! ドリュー・バリモアを、ドラマ初挑戦させた手段を告白

2017年2月1日

シーラの特製シェイクの材料は…

昨年8月、米ロサンゼルスの撮影スタジオにて、ドリュー・バリモア(「50回目のファースト・キス」)と、ティモシー・オリファント(「Justified 俺の正義」)が主演する最新作「サンタクラリータ・ダイエット」の、クリエイターを務めるヴィクター・フレスコにインタビューを行った。

「サンタクラリータ・ダイエット」は、ある日、妻が死んでしまい、人肉を食べる“デッド”に変わってしまったことで、ごく普通の夫婦の生活が激変してしまうというストーリー。クリエイターのヴィクターに、今作にドリュー・バリモアを起用したきっかけ、さらにハリウッドでの労働について語ってもらった。

――ドリュー・バリモアにとっては初のテレビシリーズ。どのようにキャスティングを実現させたのですか?

ヴィクター:　こちらから依頼したんだ(笑)。彼女は脚本を読んで、レスポンスをくれた。そしてドリュー自身がティモシー・オリファントのことを好きだったので、彼をキャスティングすることになったんだ。
詳細は彼女本人に聞いてほしいんだけど、シーラのキャラクターはリアルに描かれていながらも、クレイジーで幅のある役なので、面白みを感じてくれたんだと思う。

(脚本を書くときから、シーラ役としてドリューをイメージしていたのでしょうか?)

ヴィクター:　(シーラ役として)4～5人ぐらい、違う種類の俳優のプロトタイプは考えていたけれど、特定の俳優は決めていなかったよ。ぼくには長編映画の制作経験がないし、ドリューは映画女優としての存在感が強いので、彼女のキャスティングは思いつかなかった。
ただ、ドリューは、私が描いていたプロトタイプのなかに、間違いなくフィットするタイプだったよ。

――ティムとドリューがキャストにぴったりだと思った理由は?

ヴィクター:　ティムはコメディ俳優としての才能を開花させたと思う。もともと彼はいい俳優で、彼が出演している「デッドウッド　～銃とSEXとワイルドタウン」は、大好きな番組。「JUSTIFIED 俺の正義」でも、見事な演技を見せていたよね。
ドライでウィットに富んでいて、信ぴょう性と現実味があり、面白い俳優だ。説得力があり、愛すべきキャラクターでもある。

ドリューも生まれつき愛嬌があり、シーラ役に完璧だ。ドリュー本人が魅力的であることももちろんだけど、彼女が演じると、誰だってそのキャラクターを好きになってしまう。コメディの中に、人を殺すキャラクターが出てくるなら、愛されキャラである方がいいに決まっているからね。
そして彼女は素晴らしいコメディ・センスと才能を持っているんだ。ドリューもティムも、俳優として魅力的であることは言うまでもないね。

――二児の母であるドリューは、多忙な撮影スケジュールをどのようにやりくりしているのでしょうか?

ヴィクター:　まあそれは、女優の宿命だよね。ただ、ドリューはすべてのシーンに出ているわけではないので、私たちも集合時間などをうまく調整しているよ。時には撮影現場の集合時間を遅くしたり、撮影に来なくていい日を作ったり。彼女が子どもをセットに連れてくることもあるんだ。
撮影が長時間に及ぶこともあるけれど、みんなこれまでもやってきたことなので、慣れているんだよ。アメリカの映画・テレビ業界では、誰だって家族がいながら、長時間働くものなんだ。

先日、子どもと一緒に観たドキュメンタリー映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』で、ヨーロッパの国々の様子を見て、文化の違いを感じたよ。映画で描かれていることが、すべてリアルなのかどうかわからないけど、アメリカではみんな、まるで動物のように働く。特にショービジネスにおいては、いいか悪いかは別として、とにかく長くハードに仕事をするものなんだ。
私たちについていえば、今回のシリーズはとても大きな費用をかけたシリーズなので、誰が悪いわけでもなく、とにかく作り上げなければならない。そこにチョイスはないんだ。

――その4へ続く