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【LAセットビジット】「サンタクラリータ・ダイエット」製作総指揮ヴィクター・フレスコにインタビュー(その4)! ゾンビ=究極のナルシスト? あえて今、ゾンビ作品を作った理由
2017年2月2日
ドリュー・バリモアが演じたのは、“究極のナルシスト”役?
昨年8月、米ロサンゼルスの撮影スタジオにて、ドリュー・バリモア(「50回目のファースト・キス」)と、ティモシー・オリファント(「Justified 俺の正義」)が主演する最新作「サンタクラリータ・ダイエット」の、クリエイターを務めるヴィクター・フレスコにインタビューを行った。
「サンタクラリータ・ダイエット」は、ごく普通の夫婦の生活が、ある日、妻のアンデッド化によって、激変してしまうというストーリー。ヴィクターは本作において、脚本・製作総指揮を務めている。「ウォーキング・デッド」をはじめ、ゾンビを扱った作品が隆盛を誇る今のタイミングで、彼がこの題材を選んだ理由は、どこにあったのだろうか?
――ティモシー・オリファント演じる夫ではなく、ドリュー・バリモア演じる妻をゾンビにしたのには意味があるのですか?
ヴィクター: 女性の不動産業者が人を殺すという設定のほうがコメディにあっているから(笑)。
男の殺人者だと、面白いというより、怖いイメージが先行してしまうと思ってね。身長5.3フィート(約160センチ)のドリューの方がより同情を集めそうで、コメディ向きだと思ったんだよ。
――結婚についての物語に、なぜ“ゾンビ”の要素を入れる必要があったのですか?
ヴィクター: 幸運なことに、私はこれまでも、家族や結婚に関する番組に関わってきた。今の米テレビ界には、400本以上のテレビドラマが存在する。そうした中で、あらためて結婚についての番組を作りたいと思ったときに、ただ夫婦関係について語るだけでなく、何か自分をエキサイトさせたい、何かしら大きな要素を入れたいと思った。
この世界では、誰もひとりで生きていくことはできず、何らかの関係性をもって共存しており、そこには忍耐や我慢というものが必要となる。(ゾンビの要素は)そのことを喜劇的に描くためのひとつのツールともいえる。
(現在、ゾンビをテーマとした番組が流行していることは、今回のシリーズ実現に影響したのでしょうか?)
ヴィクター: ここでの“ゾンビ”は、今まで見られてきたものとは少し違う趣旨のもの。私たちは、ゾンビを喜劇的に捉えているんだ。シーラはあくまでも、普通に生きているからね。
私は、それほどゾンビ文化に詳しくなくて。何せ一度も会ったことがないからね(笑)。ゾンビ文化については少しずつ学んでいるところで、なんとなく基本的なルールはわかっていると思うけれど、ここにいるみなさん(記者)と同じぐらいの知識量じゃないかな。
この企画も「ゾンビについての物語を描きたい」というアプローチではなかった。何かしら、人間の関係性とその要素について描きたかったんだ。
これはアメリカ文化に特化したことかもしれませんが、私たちの国には、とても“ナルシシズム(自己愛)”的な文化が充満している。私が育ったころは、無私無欲が美とされ、評価されたものだけど、今はそれが逆転し、ナルシシズムが評価され、尊敬される時代になっているんだ。
そこにとても興味を惹かれた。私の時代とは真逆で、今はとにかく「自分のことばかりを考えて生きる」という時代で、それがいいこと、または尊敬されることと捉えられている。
そして、ゾンビ以上に“自分を愛する”ナルシシズム的な存在はないと思わない? これは面白い企画になると思ったよ(笑)
(こうした風潮は、親や祖父母以前の世代が持っていなかった、「自分を大切にできる贅沢」として、ポジティブにとらえることもあるのでは?)
ヴィクター: まさにその通り! それが番組のピッチ要素のひとつでもあったんだ。
ナルシシズムの裏側には、“権利を行使する自由”というポジティブ面がある。自分のニーズが満たされ、欲しいものを手に入れられるということは、私たちの祖先があまり経験できなかったことで、ポジティブなこと。そういった意味で、いろいろな複雑さがあり面白い。
「サンタクラリータ・ダイエット」でも、ネガティブ面よりポジティブ面を掘り下げることになると思うよ。
――制作過程のなかで、一番苦労した点は?
ヴィクター: この番組は、30分番組としては、とても大規模なものなんだ。従来ならば、30分番組は観客前のセットで収録されるか、ステージ周りで展開されるものだった。でも今回のシリーズには、大規模な要素が含まれていて、夜間の撮影もあり、外でのロケも多い。
なので、純粋に外の世界にいることが多かったこと、150人のスタッフや機材をトラックで運びながら近所を回るということが大変だったね。しかも、とにかく暑くて(笑)。※インタビューが行われたのは8月
(今作は“シングルカメラ・シリーズ”と聞いていますが、それはどういう意味でしょう?)
「フレンズ」や「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」など、観客の前で撮影されるシチュエーション・コメディは、複数のカメラで撮影するマルチカメラ・シリーズ。
シングルカメラ・シリーズとは観客がいないドラマのことで、より映画に近い撮影の仕方で作られるもののことをそう呼ぶんだ。
――インスピレーションを受けたテレビ番組や本、映画などはありますか?
ヴィクター: 特別、テレビや映画、グラフィックノベルなどから影響を受けたということはない。
「サンタクラリータ・ダイエット」は、結婚や、どのようにして今のナルシシズム文化が生まれたのかということへの興味から始まった企画だ。ナルシシズム文化という点では(リアリティ番組)「リアル・ハウスワイフ」シリーズなどは観るよ(笑)。
ただ、うちの脚本家の多くは、自分たちがアウトサイダーで、今の文化を外から傍観している存在だと思っていて、私もそうした興味の視点で観てしまう。どうしてこうなったのか? 今の現象は何を表しているのか? いいのか悪いのか?とね。
――その5へ続く
【動画】グロいのに笑えるって新体験!? 「サンタクラリータ・ダイエット」予告編(日本語字幕付き)
ジョエルとシーラはLAの新興住宅地サンタクラリータで平穏な毎日を送るごく平凡な家族。とある日、妻シーラの身体にこれまでの暮らしを一変させる変化が起こり、夫婦の人生は死と破壊の道を突き進むことに... しかしそれは家族が結束を固めるきっかけに!?製作総指揮は『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー、『子連れじゃダメかしら?』ドリュー・バリモアと『JUSTIFIED 俺の正義』ティモシー・オリファントの豪華共演で贈る、Netflixオリジナルコメディドラマ『サンタクラリータ・ダイエット』2月3日配信開始!
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「サンタクラリータ・ダイエット」は、ごく普通の夫婦の生活が、ある日、妻のアンデッド化によって、激変してしまうというストーリー。ヴィクターは本作において、脚本・製作総指揮を務めている。「ウォーキング・デッド」をはじめ、ゾンビを扱った作品が隆盛を誇る今のタイミングで、彼がこの題材を選んだ理由は、どこにあったのだろうか?
――ティモシー・オリファント演じる夫ではなく、ドリュー・バリモア演じる妻をゾンビにしたのには意味があるのですか?
ヴィクター: 女性の不動産業者が人を殺すという設定のほうがコメディにあっているから(笑)。
男の殺人者だと、面白いというより、怖いイメージが先行してしまうと思ってね。身長5.3フィート(約160センチ)のドリューの方がより同情を集めそうで、コメディ向きだと思ったんだよ。
ティモシーがゾンビになれなかった理由は…
――結婚についての物語に、なぜ“ゾンビ”の要素を入れる必要があったのですか?
ヴィクター: 幸運なことに、私はこれまでも、家族や結婚に関する番組に関わってきた。今の米テレビ界には、400本以上のテレビドラマが存在する。そうした中で、あらためて結婚についての番組を作りたいと思ったときに、ただ夫婦関係について語るだけでなく、何か自分をエキサイトさせたい、何かしら大きな要素を入れたいと思った。
この世界では、誰もひとりで生きていくことはできず、何らかの関係性をもって共存しており、そこには忍耐や我慢というものが必要となる。(ゾンビの要素は)そのことを喜劇的に描くためのひとつのツールともいえる。
(現在、ゾンビをテーマとした番組が流行していることは、今回のシリーズ実現に影響したのでしょうか?)
ヴィクター: ここでの“ゾンビ”は、今まで見られてきたものとは少し違う趣旨のもの。私たちは、ゾンビを喜劇的に捉えているんだ。シーラはあくまでも、普通に生きているからね。
私は、それほどゾンビ文化に詳しくなくて。何せ一度も会ったことがないからね(笑)。ゾンビ文化については少しずつ学んでいるところで、なんとなく基本的なルールはわかっていると思うけれど、ここにいるみなさん(記者)と同じぐらいの知識量じゃないかな。
この企画も「ゾンビについての物語を描きたい」というアプローチではなかった。何かしら、人間の関係性とその要素について描きたかったんだ。
これはアメリカ文化に特化したことかもしれませんが、私たちの国には、とても“ナルシシズム(自己愛)”的な文化が充満している。私が育ったころは、無私無欲が美とされ、評価されたものだけど、今はそれが逆転し、ナルシシズムが評価され、尊敬される時代になっているんだ。
そこにとても興味を惹かれた。私の時代とは真逆で、今はとにかく「自分のことばかりを考えて生きる」という時代で、それがいいこと、または尊敬されることと捉えられている。
そして、ゾンビ以上に“自分を愛する”ナルシシズム的な存在はないと思わない? これは面白い企画になると思ったよ(笑)
(こうした風潮は、親や祖父母以前の世代が持っていなかった、「自分を大切にできる贅沢」として、ポジティブにとらえることもあるのでは?)
ヴィクター: まさにその通り! それが番組のピッチ要素のひとつでもあったんだ。
ナルシシズムの裏側には、“権利を行使する自由”というポジティブ面がある。自分のニーズが満たされ、欲しいものを手に入れられるということは、私たちの祖先があまり経験できなかったことで、ポジティブなこと。そういった意味で、いろいろな複雑さがあり面白い。
「サンタクラリータ・ダイエット」でも、ネガティブ面よりポジティブ面を掘り下げることになると思うよ。
――制作過程のなかで、一番苦労した点は?
ヴィクター: この番組は、30分番組としては、とても大規模なものなんだ。従来ならば、30分番組は観客前のセットで収録されるか、ステージ周りで展開されるものだった。でも今回のシリーズには、大規模な要素が含まれていて、夜間の撮影もあり、外でのロケも多い。
なので、純粋に外の世界にいることが多かったこと、150人のスタッフや機材をトラックで運びながら近所を回るということが大変だったね。しかも、とにかく暑くて(笑)。※インタビューが行われたのは8月
(今作は“シングルカメラ・シリーズ”と聞いていますが、それはどういう意味でしょう?)
「フレンズ」や「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」など、観客の前で撮影されるシチュエーション・コメディは、複数のカメラで撮影するマルチカメラ・シリーズ。
シングルカメラ・シリーズとは観客がいないドラマのことで、より映画に近い撮影の仕方で作られるもののことをそう呼ぶんだ。
――インスピレーションを受けたテレビ番組や本、映画などはありますか?
ヴィクター: 特別、テレビや映画、グラフィックノベルなどから影響を受けたということはない。
「サンタクラリータ・ダイエット」は、結婚や、どのようにして今のナルシシズム文化が生まれたのかということへの興味から始まった企画だ。ナルシシズム文化という点では(リアリティ番組)「リアル・ハウスワイフ」シリーズなどは観るよ(笑)。
ただ、うちの脚本家の多くは、自分たちがアウトサイダーで、今の文化を外から傍観している存在だと思っていて、私もそうした興味の視点で観てしまう。どうしてこうなったのか? 今の現象は何を表しているのか? いいのか悪いのか?とね。
――その5へ続く
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