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【LAセットビジット】「サンタクラリータ・ダイエット」製作総指揮ヴィクター・フレスコにインタビュー(その5)! “痩せる”だけじゃない! 「ダイエット」の題に込めた意味は?
2017年2月3日
昨年8月、米ロサンゼルスの撮影スタジオにて、ドリュー・バリモア(「50回目のファースト・キス」)と、ティモシー・オリファント(「Justified 俺の正義」)が主演する最新作「サンタクラリータ・ダイエット」の、クリエイターを務めるヴィクター・フレスコにインタビューを行った。
「サンタクラリータ・ダイエット」は、ある日、妻が死んでしまい、人肉を食べる“デッド”に変わってしまったことで、ごく普通の夫婦の生活が激変してしまうというストーリー。日本では「痩せること」ととらえられがちな“ダイエット”という言葉を含んだタイトルに、彼が込めた意味とは何なのだろうか?
――「サンタクラリータ・ダイエット」というタイトルだけを見ると、結婚がテーマとはわかりません。それでも、“ダイエット”という言葉を入れたことに、理由はあったのでしょうか?
ヴィクター: 主役の“ダイエット”(※ここでは食習慣という意味)が、人肉を食べることだから(笑)。
タイトルにはまず、“サンタクラリータ”という名前を入れたかったんだ。世界的に知られている地名ではないけれど、1987年にできた比較的新しいコミュニティであり、その名前を入れることで、タイトルがライトになる感じが気に入った。
番組の内容をまったく知らずにタイトルを見たらよくわからないと思うけれど、私にとっては、どこかライトで、フワッとしたこの感じがよかったんだ。
(いわゆる食事制限という意味での“ダイエット”に執着するということは……?)
ヴィクター: ドリュー扮するシーラ自身はもちろん、人肉しか食べないわけだから、“ダイエット”(※習慣、制限、双方の意味で)に執着しているよね。シーラはだんだん、毎日人を殺さなくてすむような作戦を考えられるようにもなるんだ。
ドリュー自身、とても調子がいいそうだよ。タンパク質ダイエットのようなものなので(笑)、活力が増して、体重が減るそうだ。シーズンを通して、彼女の体重が減っていくという流れは、ドリューの提案によるものだったんだ。
――「サンタクラリータ・ダイエット」はNETFLIX配信なので、世界中の視聴者が対象に。たとえばワーナーブラザースやフォックスのような、製作会社向けに制作するときと、スタンスを変えていますか?
ヴィクター: 変えるべきなのかもしれないけれど、私は変えていない。自分が国際的な感性を理解しているとは思っていないんだ。アメリカの脚本家の多くも同じだと思う。
これは国内向けの番組を作るときにも言えることだけど、作り手は、自分たちの感性が観客のものとマッチするよう願うものなんだ。ただ、国内であろうと国外であろうと、観客にアピールできると想定される箱の中でモノづくりを考えると、クリエイターは自分のフォーカスを外しがちになる。
「ブラジル人はこれが好きだから」、「フランスではこれがウケるから」と言っているうちに、より一般的な作品になってしまうからだ。
(ヨーロッパの記者から、「欧州ではウケると思う」と言われ)そうだね。ドリューが国際的にアピール力を持っていることはわかるけれど、それ以外はお手上げ。世界中のいろいろな国を訪ねたことがあるけれど、各国の感性や、人々が求めているものまではわからないね。
――第1シーズンのエピソード数は? 第2シーズンの構想はあるのでしょうか?
ヴィクター: NETFLIXは従来のネットワーク局とは大きく違い、脚本家やクリエイターへの理解がより深いといえる。第1シーズンは10話。NETFLIX側に接触したとき、この10話のイメージについて議論したよ。第4話ではここ、第6話ではここまで進み……というように。
エピソードが進むにつれて、次第にあいまいにはなっていったけれど、脚本を書き始める前の時点で、シーズン全体がどのようなものになるかという全体像は描けていた。
第2シーズンについても、第1シーズンがどのように終わり、どのような形で第2シーズンに突入するのかという、おおまかなアイデアはあるんだ。
(シリーズにとって、オンライン配信はいいアイデアだと感じますか?)
ヴィクター: NETFLIXのモデルに足を踏み入れたら、もう従来のネットワーク局のモデルには戻れないよ。自分もネットワーク局の枠組みのなかで頑張ってきた人間だし、今でも従来のテレビ局の企画において、いい仕事をしようとしている仲間たちをガッカリさせるようなことは言いたくないんだけどね。
第一にコマーシャルがないので、物語を細かく刻む必要がない。1エピソードの長さも自由で、いいエンディングが出来たとしても、30秒ほどオーバーしていたらカットしなければ、なんてことはないんだ。
第二に脚本家の自由度が大きい。第7話の視聴者、おそらく第1~6話を見ていると想定できるから、途中から見始めた人でも理解できるようにあれこれ説明する必要もない。
そうした意味で、NETFLIXのモデルは脚本家にとって、本のようなものかも。読者が突然、4章から読み始めるということはあまりないでしょう? 映画のようでもあり、(本作は)長編映画を10編に切ったようなものだね。
年齢層においても、NETFLIXが局のように、18~49歳、できれば27~32歳という枠にこだわらないという点も、脚本家にとっては魅力的だ。
ネットワーク局のよくある話では、ルックスのいい25~35歳の俳優にオファーが殺到することがあるんだよ。60歳の俳優をテーマにしたシリーズの企画は、局に売れないからね。60歳のキャラが登場していてもいいけれど、主役やテーマには向いていないとされてしまうんだ。家族が主軸のシリーズがあってもいいけれど、これまた若い家族でないとダメなんだよ。
実のところ、多くの制作者が同時期に、同じ俳優を欲しているなんてこともあるんだ。ネットワーク局だけで50本のコメディがあり、4週間という時間枠の中で、25~35歳、魅力的で、コメディができる俳優を集めなければならない。しかも、普通の番組においては、魅力的な俳優を6人ほど集める必要も!
そのうち2名はいい俳優だけれど、4名はあまり……ということじゃ、うまくいかないだろう? 今はメディア数が多いため、これらの細かい条件をクリアして、俳優を集めることは奇跡に近いんだよ。
(終わり)
【動画】グロいのに笑えるって新体験!? 「サンタクラリータ・ダイエット」予告編(日本語字幕付き)
ジョエルとシーラはLAの新興住宅地サンタクラリータで平穏な毎日を送るごく平凡な家族。とある日、妻シーラの身体にこれまでの暮らしを一変させる変化が起こり、夫婦の人生は死と破壊の道を突き進むことに... しかしそれは家族が結束を固めるきっかけに!?製作総指揮は『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー、『子連れじゃダメかしら?』ドリュー・バリモアと『JUSTIFIED 俺の正義』ティモシー・オリファントの豪華共演で贈る、Netflixオリジナルコメディドラマ『サンタクラリータ・ダイエット』2月3日配信開始!
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「サンタクラリータ・ダイエット」は、ある日、妻が死んでしまい、人肉を食べる“デッド”に変わってしまったことで、ごく普通の夫婦の生活が激変してしまうというストーリー。日本では「痩せること」ととらえられがちな“ダイエット”という言葉を含んだタイトルに、彼が込めた意味とは何なのだろうか?
――「サンタクラリータ・ダイエット」というタイトルだけを見ると、結婚がテーマとはわかりません。それでも、“ダイエット”という言葉を入れたことに、理由はあったのでしょうか?
ヴィクター: 主役の“ダイエット”(※ここでは食習慣という意味)が、人肉を食べることだから(笑)。
タイトルにはまず、“サンタクラリータ”という名前を入れたかったんだ。世界的に知られている地名ではないけれど、1987年にできた比較的新しいコミュニティであり、その名前を入れることで、タイトルがライトになる感じが気に入った。
番組の内容をまったく知らずにタイトルを見たらよくわからないと思うけれど、私にとっては、どこかライトで、フワッとしたこの感じがよかったんだ。
(いわゆる食事制限という意味での“ダイエット”に執着するということは……?)
ヴィクター: ドリュー扮するシーラ自身はもちろん、人肉しか食べないわけだから、“ダイエット”(※習慣、制限、双方の意味で)に執着しているよね。シーラはだんだん、毎日人を殺さなくてすむような作戦を考えられるようにもなるんだ。
ドリュー自身、とても調子がいいそうだよ。タンパク質ダイエットのようなものなので(笑)、活力が増して、体重が減るそうだ。シーズンを通して、彼女の体重が減っていくという流れは、ドリューの提案によるものだったんだ。
――「サンタクラリータ・ダイエット」はNETFLIX配信なので、世界中の視聴者が対象に。たとえばワーナーブラザースやフォックスのような、製作会社向けに制作するときと、スタンスを変えていますか?
ヴィクター: 変えるべきなのかもしれないけれど、私は変えていない。自分が国際的な感性を理解しているとは思っていないんだ。アメリカの脚本家の多くも同じだと思う。
これは国内向けの番組を作るときにも言えることだけど、作り手は、自分たちの感性が観客のものとマッチするよう願うものなんだ。ただ、国内であろうと国外であろうと、観客にアピールできると想定される箱の中でモノづくりを考えると、クリエイターは自分のフォーカスを外しがちになる。
「ブラジル人はこれが好きだから」、「フランスではこれがウケるから」と言っているうちに、より一般的な作品になってしまうからだ。
(ヨーロッパの記者から、「欧州ではウケると思う」と言われ)そうだね。ドリューが国際的にアピール力を持っていることはわかるけれど、それ以外はお手上げ。世界中のいろいろな国を訪ねたことがあるけれど、各国の感性や、人々が求めているものまではわからないね。
――第1シーズンのエピソード数は? 第2シーズンの構想はあるのでしょうか?
ヴィクター: NETFLIXは従来のネットワーク局とは大きく違い、脚本家やクリエイターへの理解がより深いといえる。第1シーズンは10話。NETFLIX側に接触したとき、この10話のイメージについて議論したよ。第4話ではここ、第6話ではここまで進み……というように。
エピソードが進むにつれて、次第にあいまいにはなっていったけれど、脚本を書き始める前の時点で、シーズン全体がどのようなものになるかという全体像は描けていた。
第2シーズンについても、第1シーズンがどのように終わり、どのような形で第2シーズンに突入するのかという、おおまかなアイデアはあるんだ。
(シリーズにとって、オンライン配信はいいアイデアだと感じますか?)
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第一にコマーシャルがないので、物語を細かく刻む必要がない。1エピソードの長さも自由で、いいエンディングが出来たとしても、30秒ほどオーバーしていたらカットしなければ、なんてことはないんだ。
第二に脚本家の自由度が大きい。第7話の視聴者、おそらく第1~6話を見ていると想定できるから、途中から見始めた人でも理解できるようにあれこれ説明する必要もない。
そうした意味で、NETFLIXのモデルは脚本家にとって、本のようなものかも。読者が突然、4章から読み始めるということはあまりないでしょう? 映画のようでもあり、(本作は)長編映画を10編に切ったようなものだね。
年齢層においても、NETFLIXが局のように、18~49歳、できれば27~32歳という枠にこだわらないという点も、脚本家にとっては魅力的だ。
ネットワーク局のよくある話では、ルックスのいい25~35歳の俳優にオファーが殺到することがあるんだよ。60歳の俳優をテーマにしたシリーズの企画は、局に売れないからね。60歳のキャラが登場していてもいいけれど、主役やテーマには向いていないとされてしまうんだ。家族が主軸のシリーズがあってもいいけれど、これまた若い家族でないとダメなんだよ。
実のところ、多くの制作者が同時期に、同じ俳優を欲しているなんてこともあるんだ。ネットワーク局だけで50本のコメディがあり、4週間という時間枠の中で、25~35歳、魅力的で、コメディができる俳優を集めなければならない。しかも、普通の番組においては、魅力的な俳優を6人ほど集める必要も!
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