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「ラブ」クリエイターのジャド・アパトー&主演の2人にインタビュー! 日常/恋愛の“あるある”が満載の本作、3人の恋愛観を尋ねてみた
2017年3月22日
「ラブ」
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
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アメリカで絶大な人気を誇るジャド・アパトー(「40歳の童貞男」や「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」)が脚本・監督を務める「ラブ」のシーズン2が、Netflixにて3月10日より好評配信中。アパトーに加え、主演を務めるポール・ラストとジリアン・ジェイコブスの3名に、現地ニューヨークでインタビューを行った。
数々の大ヒットコメディ映画を手がけてきたジャドが共同クリエイターと製作総指揮を務める「ラブ」は、あるカップルの付き合いはじめの段階から、どう関係性が変化していくかを一歩ずつゆっくりと描くコメディ作品。あまり冴えない男性や、どこかズレた女性など登場人物が生み出す、切ない笑いに思わず魅了されてしまうこと間違いなしだ。
インタビューでは、本作のコンセプトから役作りの過程、3人の恋愛観や世界中から寄せられる好意的な反応への思いなどを伺った。
———————————————————
Q. 世界中の視聴者を魅了している「ラブ」のアイディアやコンセプトはどこから出てきたのですか?
ポール・ラスト(以下P):僕と妻、そしてジャドの3人でこの番組を作っているんだけど、当初は映画を想定してアイディアをプレゼンした。プレゼンした時は、男女の関係はある程度発展した後のものだった。その時ジャドは、あるカップルの関係を、出会った瞬間から掘り下げていくというTV番組のアイディアを長い間抱いていた。ジャドが「君の考えているカップルのアイディアはとても面白いね。多分それをTV番組にすることが出来るよ」と言ってくれて、僕らはその二つを結びつけたんだ。そこで「LOVE」が生まれたんだ。
Q. お二人の演じるキャラクターは非常にユニークです。自身のキャラクターのどういうところに共感しますか?ポールさんと奥様の実体験を基に書かれているわけですが…。
P:そうだね(笑)。
ジャド・アパトー(以下J):セクシーなところだね。
P:(笑)
ジリアン・ジェイコブス(以下G):男のセクシーさね。
P:そうだね。そのすべてだ。性的魅力と男のセクシーさだよ。その2つの間の要素もポイントだね。
G:私はミッキーの大胆さが大好き。勇敢なところとかもね。自分にもう少しそういった要素があったらいいのにと思うわ。私はもう少し規則に従う方なの。実生活では、ガスみたいな性格よ。だから、ミッキーと似ている点は少ないかもしれない。でも、彼女みたいに勇敢だったらいいのにと思うわ。
Q. 演じていて、自分自身とキャラクターとの間にギャップを感じることはありますか?また、キャラクターにとても親しみを感じたシーンはありますか?
G:ええ。ミッキーと自分が表面的にはとても違うと時々感じるの。私はお酒を飲まないし、ドラッグもやったことがない。でも、それ以外の点では、彼女にとても共感できるの。恋愛関係の中で、まごついてきたことだってあるの(笑)。問題が起きる必要のないところで、わざわざ問題を作っちゃったり。だから、ミッキーがそういうことをする時には、「あらら…やっちゃった」って気分になるのよ。
J:君はどんな問題を起こしてきたんだい?
G:おお、ジャド、具体的なことを話す必要はないわ!曖昧な一般論が好きなのよ!
P:(笑)
J:君が今までに犯した最大の過ちは何なの?
G:このインタビュー受けちゃったことね(笑)。
Q. ガスとミッキーの関係はとても面白く、魅了されてしまいます。そういった役をどうやって準備されたのですか?
P:シーズン1をやる前に、僕らは少しリハーサルをしたんだ。お互い演技に備えてウォームアップするためだよ。僕は役者としてのジリアンのことをよく知っていたし、彼女の大ファンだった。だから、彼女が何でもこなせるってことを知っていたんだ。彼女の得意なことも分かっていた。とにかく何かを撮影していれば、様々なことが起きるものだ。現場では、テイクの間にかなりの時間を一緒に過ごすんだ。最終的には、カメラの前でも親密な関係を見せられるようになるんだ。
G:ある現場では、テイクが終われば自分たちのトレーラーに戻って、誰とも交流しないってこともあるの。この現場では、みんながセットに残って、テイクの間に話をしたり、ぶらぶらしていたわ。そういった環境も、私たちの関係を構築するのにとても役立ったと思う。私たち2人だけじゃなくて、バーティ役のクローディア・オドハティや、この番組のすべての役者たちが、お互いのことを知ることになったの。現場で一緒に過ごすことで、親密な関係を育んだのよ。
P:そういった雰囲気を作り出すのにジャドが一役買ってくれたんだ。その時抱いていた感情だったり、心の状態について好きなように話すことが出来た。最終的に、みんなが現場でもお互いに居心地良く感じられるようにしてくれたんだ。
Q. 皆さんの恋愛に対する考え方は何ですか?
J:とても肯定的に捉えているね。僕らはもうすぐ結婚20周年を迎えるんだ。この夏にね。
P:ワオ!おめでとう。
J:パーティーをするかどうか考えているんだ。僕らの結婚式には誰も来なかった。自分たちだけやったからね。だから、パーティーをするために色々と準備するのが怖いんだ。みんなが来るかどうかわからないだろ。大きな会場を用意しても、12人しか現れないんじゃないかと感じているんだ。こういったことは大変だけど、すばらしいと思っているんだ。自分の良くない部分を知るきっかけになるからね。
G:(笑)
J:つまり2人とも、誰かをイライラさせて、同時にイライラさせられている。だから、(そういったことに)取り組まないといけないんだ。年を取るにつれて、人を新しい方法でイライラさせるようになってしまう。以前にはなかった新しい習慣を身につけるからね。だから、それが(恋愛)関係を持つための理由であるかのように、見つめ直さないといけない。より良い自分になるのを助けてくれるからだ。お互いにサポートしたり、お互いに我慢することを学ぶんだよ。
P:それは面白いね。「結婚や恋愛関係は、すべてを常にパーフェクトにやろうとすることだ」と考えてしまいがちだけど、そうじゃない。実際は様々なことが起きて、障害となるんだ。そういったことにどうやって一緒に向き合っていくか。そこが大事だと思う。
G:私は結婚してないの。だから、結婚がどういったものかわからない。昔はケンカをすることのポイントは、口論に勝つことだと思っていた。他の人が間違っているのを証明することだって。裁判での弁護士みたいにね。自分のケースを議論するものだと思っていたわ。
P:待って、そうじゃないの?(笑)。
G:でも、人と上手くコミュニケーションをとるやり方を学び、ある種の同意に一緒に至ることがもっと重要だと気づいたの。「ごめんなさい」とか、「私が悪かった」と言うのは、そんなに難しいことじゃないわ(笑)。
ケンカのやり方を学ばないといけなかった。私にとって大きなことだったわ。だって私は一人っ子だったから。子供の時、兄弟の関係というものを知らなかった。でもそれって、恋愛関係を築くための準備期間のようなものだと思うの。ケンカをしたり、ある問題に対してどう対処するかを学べるから。それが出来なくて苦労したわ。でも、常に正しくないといけないという、自分のエゴの部分をある程度解放できるようになったわ。
Q. ロサンゼルスを舞台にストーリーは展開します。ロサンゼルスで撮影することの利点はなんですか?
G:吹雪(※)がないということ(笑)。
※インタビュー当日、ニューヨークは雪が降っていたため。
J:地震で街が停止することもないね。
G:ただし、まだね。
J:作品をロサンゼルスで撮影しても、誰もロサンゼルスという街を見せない。別の街となって映像で表現されることが多いよね。人々がただロスを走り回ったり、僕らが毎日走っている時に見るロスが出て来る番組は見たことがない。だから僕らが自由にロサンゼルスという街を使って、楽しみながらワイワイできるってことに興奮しているんだ。「GIRLS/ガールズ」も似たようなものだよね。あれは、ニューヨークやブルックリンのスピリットを捉えていた。僕らはシルバー・レイクのスピリットを見せていると思っている。ロス・フェリスとかね。ロサンゼルスにあるエリアだけど、これまでに見たことのない側面を見せていると思うよ。若い人にとって個性に溢れた、使い古されていないエリアだと思うからね。
P:10年以上前にここに引っ越して来るまで、僕がロサンゼルスについて知らなかったことは、それがいくつもの独自の名前を持った違う地区で出来ていることだ。僕は、ただの一つの大きな“ロサンゼルス”だと思っていた。だから最初のエピソードでは、実際に誰かがそれについて説明したんだ。「ロスには違うパーツがあって、違う地域に住むことができる」ってね。誰が見てもそこで理解してもらえるはずさ。
G: みんなが奇妙なものを持ったり、変人が自分たちの空間を持てる自由が、ロサンゼルスにはもっとあるわね(笑)。ここに引っ越す前に、私はニューヨークに住んでいたんだけど、ニューヨークはあまりにも高すぎるわ。本当にね。ロサンゼルスにはジュラ紀技術博物館というところがあるの。ミュージアムというアイディアについての、インストレーション・アート作品のような場所なの。そういったものを建てられるスペースだったり余裕というものが、ニューヨークにはない。だからロサンゼルスに引っ越したとき、そういった点を発見するのも楽しみだと思ったわ。シーズン1に登場するマジック・キャッスル(※)とかもね。ロサンゼルスには、奇妙で小さな素晴らしい場所があるのよ。
※奇術専用の会員制クラブ。世界中からマジシャンが集まり、ショーが行われる。会員のなかには有名セレブも。
Q. すでにシーズン3が決まっていますね?
J: そうだよ。
Q. 多くの人々がこの番組が大好きだということを、どう思いますか?
J:みんなが気に入ってくれて、本当にうれしく思うよ。ほとんどの人は、このシリーズを1本の映画のように見ているんだ。彼らは座って、6時間フルに使って、一気に鑑賞するんだ。中には2回も3回も見た人も。このシリーズに夢中になっている人が多いみたいだね。僕らもイッキ見できるように作っているわけだけどね。
僕らは視聴者が長時間続けて鑑賞するかもしれないということを分かっていて、イッキ見が楽しい経験になるようにしているんだ。全てのエピソードは違っているけど、結果的により大きなストーリーを、平行して押し進めているんだ。みんな作品に共感しているように思える。僕らはたくさんの人たちがこの作品を見て、彼らのパートナーと破局すればいいなと思っているよ。
P:(笑)
G:そんなことはしないで。
J:ケンカが始まるね。
P:そうだね。あるエピソードによって、カップルがワクワクしたり、お互いに叫び合うようにできれば、僕らは自分たちの仕事をちゃんとやったことになるよ(笑)。
G:本当にそうよね。カップルが「私たちはガスとミッキーよりも、しっかりしている。私たちはそんなにひどくない」と感じたり、「私もまさにあんな感じだわ。2人よりも優れているわけじゃない」と思う瞬間もあると思う。私は、この番組の脇役のキャストがとても素晴らしいと思うの。そして、この仕事を通じるあらゆる人を知ることができた。(仕事を)始める前は、クローディオ・オドハティのことは知らなかった。クリス・ウィタスキ(クリス役)のことも知らなかった。この番組を通して、たくさんの人を知ることができたの。だから、視聴者も同じように、新しい役者たちのことを知ることができて嬉しく思っていると思う。本当に素晴らしい役者たちなのよ。
P:そうだね。僕は番組が始まった時、とてもナーバスだった。みんなとのやりとりが、妥協したものになるかもしれないと不安だったから。僕は、カッコつけたり、カッコよく見えるようにトライするような人たちを相手にしないといけなくなると思っていたんだ。でも、この番組が人間関係や感情について描いているおかげで、(人々とのやりとりは)実際とても素晴らしいことだと思った。みんなが自分の弱い部分を見せてもいいって思うようになったんだよ。だから、心配なんて無用だった。僕が会った人たちはみんな、自分たちの恋愛や失恋について、とても自由に僕に話しかけてくれるんだ。とても素晴らしいことだ。みんなの知らない一面を知ることができるんだからね。
Q. このシリーズを作るとき、どのような視聴者を想定しているのでしょうか?
J:僕は、「ブラジルではどう思うかな?」ということだけを考える。ブラジルはNetflixの大きなマーケットの一つなんだ。そこの文化を学んで、すべてがうまくいくように気を配るんだ(一同爆笑)。
G:大きな国ね。
J:大きな国だね。すべてのジョークは、厳しく吟味されていて、ブラジル語に翻訳された時にとても面白くなるように作られているんだ(笑)。
冗談はさておき、僕らは常に、僕らが正直に感じられて、ユニバーサルなもので、みんなが共感できるものを作りたいと願っているんだ。だって、今の時代、すべてがインターナショナルなんだ。僕らが好き勝手に調整したりできるものではないんだ。僕らはただ、こういったフィーリングが、みんなが持つフィーリングだと仮定するしかない。そして、僕らが自分たちの経験に正直であれば、他の人たちも共感できるものに仕上がるんだよ。
ー 日本では、恋するオタクというのがとても人気があります。
G:オオ!
J:それが番組なの。恋するオタク?恋に落ちたオタクという番組があるの?それとも、全ての番組が、恋に落ちたオタクなの?
ー タイトルは違いますが、恋に落ちたオタクについて描いています。「電車男」ですね。
J:それを訳すと、「なぜポール・ラストとデートするの?」となるね(笑)。
ロマンチック・コメディや、僕らの映画のいくつかは、日本では公開されないと言われてしまうんだ。「その作品が日本でうまくいくかどうか、私たちにはわからない」ってね。でも、僕はいつも「あなたたちは何を言ってるの?こういったことはどこでもうまくいくはずだ」と答えている。でも、そういった考え方も変わったように思える。実際にはどうなのかな?日本でもヒューマン・コメディのようなアメリカの作品は人気なのかい?
ー ツイッターでは皆さん「ラブ」について話していますよ。皆さん、この作品をとても気に入っています。
J:彼らは番組が好きなんだ。
G:オオ!
P:それはナイスだ。
G:恋に落ちたオタク!
J:教えてくれてありがとう!
P:世界規模の観客を持つのはナイスだ。インターネットで、鼻という単語を、いくつかの言語でどう言うか知っているよ。
J:(笑)。
P:僕は、多くの言語で「鼻」を学んだんだ(笑)。
Q. 私はミッキーが大好きです。彼女は自分が抱える問題を見つめ、対処しようと努力しています。これまでの女性キャラクターと異なり、ミッキーは劇中で大きな存在感を発揮しており、彼女の行動そのものに視聴者は大いに魅了されるのです。そのようなキャラクターを演じるのはいかがですか?
G:あなたに同意するわ。そういったことは女優として、とてもエキサイティングなの。ミッキーをリアルに感じるわ。実際の女性のように感じるの。欠点もあれば強さも持ち合わせていて、自分の問題に気付かないこともある。ありのままを描いていると思うの。
彼女は自分自身がどんな人か見つけようとしているの。誰かが、「ミッキー・ドブス、あなたの問題はこれだ。君は、こう、こう、こうだ」と言うわけじゃない。つまり、彼女は失敗を犯したり、二歩前進し、一歩後退したりしているの。自分自身と折り合いをつけるキャラクターを見つけられて素晴らしく思うわ。私はミッキー・ドブスが好きよ。
Q. Netflixとの仕事はいかがですか?
J:素晴らしいよ。なぜなら、初めから2シーズン分を製作すると決めてくれたんだ。だから、僕らは自分たちが合計22エピソードを撮るってわかっていた。アメリカのネットワーク局では、シーズンのど真ん中でキャンセルされたことが何度もあった。だから、長いストーリーを語れるということがわかっているだけで素晴らしいと思ったよ。Netflixはものすごく僕らを信頼してくれて、クリエイティブ面でとてもサポートしてくれたんだ。Netflixのために仕事をするのは、脚本家にとって、本当に夢のような状態だよ。
G:同意するわ。私は、「ラブ」の前にネットワーク局のテレビ番組をやっていたの。その番組が世界に発信されるのに何年もかかったわ。他の国のファンのもとに届くまでに、すごく時間がかかったの。だから、すぐに全世界で見てもらえる番組に関われるのは、とてもエキサイティングなこと。
それにジャドが言ったように、現場はとても落ち着いた雰囲気なのよ。みんな、仕事がちゃんとあるというのが分かっているから。恐怖心にかられてストーリーを書いていないの。だから非常にリラックスした雰囲気だったし、その雰囲気を存分に楽しんだわ。毎週、自分たちの作品がまだ継続しているのかわからない状態だったネットワーク局から来たから、なおさらリラックスしていたわ。
J:仕事をしている時に、恐れなくて良いのは素晴らしいよ(一同爆笑)。
「ラブ」シーズン1&2は、Netflixにて好評配信中。
インタビュー当日のポールとジリアン
■ストーリー
テレビドラマの脚本家になることを夢見てノースダコタからロサンゼルスに来た31歳のオタク=ガスは、お人好しで強く意見を言えないため、いつも周囲に流されてしまう。アルバイトで家庭教師をしている12歳の子役女優にも、手のひらで転がされている。うまくいっているとばかり思っていた恋愛では、突然恋人に裏切られ、傷ついている。そんな頃に彼が出会った女性ミッキーは、自己主張が強い32歳の女性。喧嘩っ早く、思ったことはすぐに口に出してしまう自己破壊的な質で、気が付いたら別れたボーイフレンドたちから恨まれている始末。アルコール依存性からも立ち直ろうと必死だが、嘘つきの性格が邪魔をする。2人とも一体自分の何が悪いのかまったくわからないまま、傷つき、そしてまた次の恋愛を求めてさまよう。 時に見栄を張り、時に恥を晒し、 ワクワクしたり、涙を流したり、歯を食いしばったり…。大人になりきれない30代前半の男女を描いた、切実なコメディドラマ。
・Netflixについて
世界最大級のオンラインストリーミングサービス。190以上の国で9300万人のメンバーにご利用いただいています。オリジナルコンテンツ、ドキュメンタリー、長編映画など、1日1億2500万時間を超える映画やドラマを配信しています。メンバーはあらゆるインターネット接続デバイスで、好きな時に、好きな場所から、好きなだけオンライン視聴できます。コマーシャルや契約期間の拘束は一切なく、思いのままに再生、一時停止、再開することができます。
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数々の大ヒットコメディ映画を手がけてきたジャドが共同クリエイターと製作総指揮を務める「ラブ」は、あるカップルの付き合いはじめの段階から、どう関係性が変化していくかを一歩ずつゆっくりと描くコメディ作品。あまり冴えない男性や、どこかズレた女性など登場人物が生み出す、切ない笑いに思わず魅了されてしまうこと間違いなしだ。
インタビューでは、本作のコンセプトから役作りの過程、3人の恋愛観や世界中から寄せられる好意的な反応への思いなどを伺った。
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Q. 世界中の視聴者を魅了している「ラブ」のアイディアやコンセプトはどこから出てきたのですか?
ポール・ラスト(以下P):僕と妻、そしてジャドの3人でこの番組を作っているんだけど、当初は映画を想定してアイディアをプレゼンした。プレゼンした時は、男女の関係はある程度発展した後のものだった。その時ジャドは、あるカップルの関係を、出会った瞬間から掘り下げていくというTV番組のアイディアを長い間抱いていた。ジャドが「君の考えているカップルのアイディアはとても面白いね。多分それをTV番組にすることが出来るよ」と言ってくれて、僕らはその二つを結びつけたんだ。そこで「LOVE」が生まれたんだ。
Q. お二人の演じるキャラクターは非常にユニークです。自身のキャラクターのどういうところに共感しますか?ポールさんと奥様の実体験を基に書かれているわけですが…。
P:そうだね(笑)。
ジャド・アパトー(以下J):セクシーなところだね。
P:(笑)
ジリアン・ジェイコブス(以下G):男のセクシーさね。
P:そうだね。そのすべてだ。性的魅力と男のセクシーさだよ。その2つの間の要素もポイントだね。
G:私はミッキーの大胆さが大好き。勇敢なところとかもね。自分にもう少しそういった要素があったらいいのにと思うわ。私はもう少し規則に従う方なの。実生活では、ガスみたいな性格よ。だから、ミッキーと似ている点は少ないかもしれない。でも、彼女みたいに勇敢だったらいいのにと思うわ。
(左から)ポール・ラスト、ジリアン・ジェイコブス
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
Q. 演じていて、自分自身とキャラクターとの間にギャップを感じることはありますか?また、キャラクターにとても親しみを感じたシーンはありますか?
G:ええ。ミッキーと自分が表面的にはとても違うと時々感じるの。私はお酒を飲まないし、ドラッグもやったことがない。でも、それ以外の点では、彼女にとても共感できるの。恋愛関係の中で、まごついてきたことだってあるの(笑)。問題が起きる必要のないところで、わざわざ問題を作っちゃったり。だから、ミッキーがそういうことをする時には、「あらら…やっちゃった」って気分になるのよ。
J:君はどんな問題を起こしてきたんだい?
G:おお、ジャド、具体的なことを話す必要はないわ!曖昧な一般論が好きなのよ!
P:(笑)
J:君が今までに犯した最大の過ちは何なの?
G:このインタビュー受けちゃったことね(笑)。
Q. ガスとミッキーの関係はとても面白く、魅了されてしまいます。そういった役をどうやって準備されたのですか?
P:シーズン1をやる前に、僕らは少しリハーサルをしたんだ。お互い演技に備えてウォームアップするためだよ。僕は役者としてのジリアンのことをよく知っていたし、彼女の大ファンだった。だから、彼女が何でもこなせるってことを知っていたんだ。彼女の得意なことも分かっていた。とにかく何かを撮影していれば、様々なことが起きるものだ。現場では、テイクの間にかなりの時間を一緒に過ごすんだ。最終的には、カメラの前でも親密な関係を見せられるようになるんだ。
G:ある現場では、テイクが終われば自分たちのトレーラーに戻って、誰とも交流しないってこともあるの。この現場では、みんながセットに残って、テイクの間に話をしたり、ぶらぶらしていたわ。そういった環境も、私たちの関係を構築するのにとても役立ったと思う。私たち2人だけじゃなくて、バーティ役のクローディア・オドハティや、この番組のすべての役者たちが、お互いのことを知ることになったの。現場で一緒に過ごすことで、親密な関係を育んだのよ。
P:そういった雰囲気を作り出すのにジャドが一役買ってくれたんだ。その時抱いていた感情だったり、心の状態について好きなように話すことが出来た。最終的に、みんなが現場でもお互いに居心地良く感じられるようにしてくれたんだ。
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
Q. 皆さんの恋愛に対する考え方は何ですか?
J:とても肯定的に捉えているね。僕らはもうすぐ結婚20周年を迎えるんだ。この夏にね。
P:ワオ!おめでとう。
J:パーティーをするかどうか考えているんだ。僕らの結婚式には誰も来なかった。自分たちだけやったからね。だから、パーティーをするために色々と準備するのが怖いんだ。みんなが来るかどうかわからないだろ。大きな会場を用意しても、12人しか現れないんじゃないかと感じているんだ。こういったことは大変だけど、すばらしいと思っているんだ。自分の良くない部分を知るきっかけになるからね。
G:(笑)
J:つまり2人とも、誰かをイライラさせて、同時にイライラさせられている。だから、(そういったことに)取り組まないといけないんだ。年を取るにつれて、人を新しい方法でイライラさせるようになってしまう。以前にはなかった新しい習慣を身につけるからね。だから、それが(恋愛)関係を持つための理由であるかのように、見つめ直さないといけない。より良い自分になるのを助けてくれるからだ。お互いにサポートしたり、お互いに我慢することを学ぶんだよ。
P:それは面白いね。「結婚や恋愛関係は、すべてを常にパーフェクトにやろうとすることだ」と考えてしまいがちだけど、そうじゃない。実際は様々なことが起きて、障害となるんだ。そういったことにどうやって一緒に向き合っていくか。そこが大事だと思う。
G:私は結婚してないの。だから、結婚がどういったものかわからない。昔はケンカをすることのポイントは、口論に勝つことだと思っていた。他の人が間違っているのを証明することだって。裁判での弁護士みたいにね。自分のケースを議論するものだと思っていたわ。
P:待って、そうじゃないの?(笑)。
G:でも、人と上手くコミュニケーションをとるやり方を学び、ある種の同意に一緒に至ることがもっと重要だと気づいたの。「ごめんなさい」とか、「私が悪かった」と言うのは、そんなに難しいことじゃないわ(笑)。
ケンカのやり方を学ばないといけなかった。私にとって大きなことだったわ。だって私は一人っ子だったから。子供の時、兄弟の関係というものを知らなかった。でもそれって、恋愛関係を築くための準備期間のようなものだと思うの。ケンカをしたり、ある問題に対してどう対処するかを学べるから。それが出来なくて苦労したわ。でも、常に正しくないといけないという、自分のエゴの部分をある程度解放できるようになったわ。
(左から)ジャド・アパトー、ポール・ラスト、ジリアン・ジェイコブス
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
Q. ロサンゼルスを舞台にストーリーは展開します。ロサンゼルスで撮影することの利点はなんですか?
G:吹雪(※)がないということ(笑)。
※インタビュー当日、ニューヨークは雪が降っていたため。
J:地震で街が停止することもないね。
G:ただし、まだね。
J:作品をロサンゼルスで撮影しても、誰もロサンゼルスという街を見せない。別の街となって映像で表現されることが多いよね。人々がただロスを走り回ったり、僕らが毎日走っている時に見るロスが出て来る番組は見たことがない。だから僕らが自由にロサンゼルスという街を使って、楽しみながらワイワイできるってことに興奮しているんだ。「GIRLS/ガールズ」も似たようなものだよね。あれは、ニューヨークやブルックリンのスピリットを捉えていた。僕らはシルバー・レイクのスピリットを見せていると思っている。ロス・フェリスとかね。ロサンゼルスにあるエリアだけど、これまでに見たことのない側面を見せていると思うよ。若い人にとって個性に溢れた、使い古されていないエリアだと思うからね。
P:10年以上前にここに引っ越して来るまで、僕がロサンゼルスについて知らなかったことは、それがいくつもの独自の名前を持った違う地区で出来ていることだ。僕は、ただの一つの大きな“ロサンゼルス”だと思っていた。だから最初のエピソードでは、実際に誰かがそれについて説明したんだ。「ロスには違うパーツがあって、違う地域に住むことができる」ってね。誰が見てもそこで理解してもらえるはずさ。
G: みんなが奇妙なものを持ったり、変人が自分たちの空間を持てる自由が、ロサンゼルスにはもっとあるわね(笑)。ここに引っ越す前に、私はニューヨークに住んでいたんだけど、ニューヨークはあまりにも高すぎるわ。本当にね。ロサンゼルスにはジュラ紀技術博物館というところがあるの。ミュージアムというアイディアについての、インストレーション・アート作品のような場所なの。そういったものを建てられるスペースだったり余裕というものが、ニューヨークにはない。だからロサンゼルスに引っ越したとき、そういった点を発見するのも楽しみだと思ったわ。シーズン1に登場するマジック・キャッスル(※)とかもね。ロサンゼルスには、奇妙で小さな素晴らしい場所があるのよ。
※奇術専用の会員制クラブ。世界中からマジシャンが集まり、ショーが行われる。会員のなかには有名セレブも。
Q. すでにシーズン3が決まっていますね?
J: そうだよ。
Q. 多くの人々がこの番組が大好きだということを、どう思いますか?
J:みんなが気に入ってくれて、本当にうれしく思うよ。ほとんどの人は、このシリーズを1本の映画のように見ているんだ。彼らは座って、6時間フルに使って、一気に鑑賞するんだ。中には2回も3回も見た人も。このシリーズに夢中になっている人が多いみたいだね。僕らもイッキ見できるように作っているわけだけどね。
僕らは視聴者が長時間続けて鑑賞するかもしれないということを分かっていて、イッキ見が楽しい経験になるようにしているんだ。全てのエピソードは違っているけど、結果的により大きなストーリーを、平行して押し進めているんだ。みんな作品に共感しているように思える。僕らはたくさんの人たちがこの作品を見て、彼らのパートナーと破局すればいいなと思っているよ。
P:(笑)
G:そんなことはしないで。
J:ケンカが始まるね。
P:そうだね。あるエピソードによって、カップルがワクワクしたり、お互いに叫び合うようにできれば、僕らは自分たちの仕事をちゃんとやったことになるよ(笑)。
G:本当にそうよね。カップルが「私たちはガスとミッキーよりも、しっかりしている。私たちはそんなにひどくない」と感じたり、「私もまさにあんな感じだわ。2人よりも優れているわけじゃない」と思う瞬間もあると思う。私は、この番組の脇役のキャストがとても素晴らしいと思うの。そして、この仕事を通じるあらゆる人を知ることができた。(仕事を)始める前は、クローディオ・オドハティのことは知らなかった。クリス・ウィタスキ(クリス役)のことも知らなかった。この番組を通して、たくさんの人を知ることができたの。だから、視聴者も同じように、新しい役者たちのことを知ることができて嬉しく思っていると思う。本当に素晴らしい役者たちなのよ。
P:そうだね。僕は番組が始まった時、とてもナーバスだった。みんなとのやりとりが、妥協したものになるかもしれないと不安だったから。僕は、カッコつけたり、カッコよく見えるようにトライするような人たちを相手にしないといけなくなると思っていたんだ。でも、この番組が人間関係や感情について描いているおかげで、(人々とのやりとりは)実際とても素晴らしいことだと思った。みんなが自分の弱い部分を見せてもいいって思うようになったんだよ。だから、心配なんて無用だった。僕が会った人たちはみんな、自分たちの恋愛や失恋について、とても自由に僕に話しかけてくれるんだ。とても素晴らしいことだ。みんなの知らない一面を知ることができるんだからね。
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
Q. このシリーズを作るとき、どのような視聴者を想定しているのでしょうか?
J:僕は、「ブラジルではどう思うかな?」ということだけを考える。ブラジルはNetflixの大きなマーケットの一つなんだ。そこの文化を学んで、すべてがうまくいくように気を配るんだ(一同爆笑)。
G:大きな国ね。
J:大きな国だね。すべてのジョークは、厳しく吟味されていて、ブラジル語に翻訳された時にとても面白くなるように作られているんだ(笑)。
冗談はさておき、僕らは常に、僕らが正直に感じられて、ユニバーサルなもので、みんなが共感できるものを作りたいと願っているんだ。だって、今の時代、すべてがインターナショナルなんだ。僕らが好き勝手に調整したりできるものではないんだ。僕らはただ、こういったフィーリングが、みんなが持つフィーリングだと仮定するしかない。そして、僕らが自分たちの経験に正直であれば、他の人たちも共感できるものに仕上がるんだよ。
ー 日本では、恋するオタクというのがとても人気があります。
G:オオ!
J:それが番組なの。恋するオタク?恋に落ちたオタクという番組があるの?それとも、全ての番組が、恋に落ちたオタクなの?
ー タイトルは違いますが、恋に落ちたオタクについて描いています。「電車男」ですね。
J:それを訳すと、「なぜポール・ラストとデートするの?」となるね(笑)。
ロマンチック・コメディや、僕らの映画のいくつかは、日本では公開されないと言われてしまうんだ。「その作品が日本でうまくいくかどうか、私たちにはわからない」ってね。でも、僕はいつも「あなたたちは何を言ってるの?こういったことはどこでもうまくいくはずだ」と答えている。でも、そういった考え方も変わったように思える。実際にはどうなのかな?日本でもヒューマン・コメディのようなアメリカの作品は人気なのかい?
ー ツイッターでは皆さん「ラブ」について話していますよ。皆さん、この作品をとても気に入っています。
J:彼らは番組が好きなんだ。
G:オオ!
P:それはナイスだ。
G:恋に落ちたオタク!
J:教えてくれてありがとう!
P:世界規模の観客を持つのはナイスだ。インターネットで、鼻という単語を、いくつかの言語でどう言うか知っているよ。
J:(笑)。
P:僕は、多くの言語で「鼻」を学んだんだ(笑)。
ⓒNetflix. All Rights Reserved.
Q. 私はミッキーが大好きです。彼女は自分が抱える問題を見つめ、対処しようと努力しています。これまでの女性キャラクターと異なり、ミッキーは劇中で大きな存在感を発揮しており、彼女の行動そのものに視聴者は大いに魅了されるのです。そのようなキャラクターを演じるのはいかがですか?
G:あなたに同意するわ。そういったことは女優として、とてもエキサイティングなの。ミッキーをリアルに感じるわ。実際の女性のように感じるの。欠点もあれば強さも持ち合わせていて、自分の問題に気付かないこともある。ありのままを描いていると思うの。
彼女は自分自身がどんな人か見つけようとしているの。誰かが、「ミッキー・ドブス、あなたの問題はこれだ。君は、こう、こう、こうだ」と言うわけじゃない。つまり、彼女は失敗を犯したり、二歩前進し、一歩後退したりしているの。自分自身と折り合いをつけるキャラクターを見つけられて素晴らしく思うわ。私はミッキー・ドブスが好きよ。
Q. Netflixとの仕事はいかがですか?
J:素晴らしいよ。なぜなら、初めから2シーズン分を製作すると決めてくれたんだ。だから、僕らは自分たちが合計22エピソードを撮るってわかっていた。アメリカのネットワーク局では、シーズンのど真ん中でキャンセルされたことが何度もあった。だから、長いストーリーを語れるということがわかっているだけで素晴らしいと思ったよ。Netflixはものすごく僕らを信頼してくれて、クリエイティブ面でとてもサポートしてくれたんだ。Netflixのために仕事をするのは、脚本家にとって、本当に夢のような状態だよ。
G:同意するわ。私は、「ラブ」の前にネットワーク局のテレビ番組をやっていたの。その番組が世界に発信されるのに何年もかかったわ。他の国のファンのもとに届くまでに、すごく時間がかかったの。だから、すぐに全世界で見てもらえる番組に関われるのは、とてもエキサイティングなこと。
それにジャドが言ったように、現場はとても落ち着いた雰囲気なのよ。みんな、仕事がちゃんとあるというのが分かっているから。恐怖心にかられてストーリーを書いていないの。だから非常にリラックスした雰囲気だったし、その雰囲気を存分に楽しんだわ。毎週、自分たちの作品がまだ継続しているのかわからない状態だったネットワーク局から来たから、なおさらリラックスしていたわ。
J:仕事をしている時に、恐れなくて良いのは素晴らしいよ(一同爆笑)。
「ラブ」シーズン1&2は、Netflixにて好評配信中。
インタビュー当日のポールとジリアン
人生に疲れた女とオタクな男の恋愛模様を描く #ネトフリ オリジナルドラマ『LOVE』待望のシーズン2、本日配信スタート! pic.twitter.com/wOnM8bnOk7
— Netflix Japan (@NetflixJP) 2017年3月10日
■ストーリー
テレビドラマの脚本家になることを夢見てノースダコタからロサンゼルスに来た31歳のオタク=ガスは、お人好しで強く意見を言えないため、いつも周囲に流されてしまう。アルバイトで家庭教師をしている12歳の子役女優にも、手のひらで転がされている。うまくいっているとばかり思っていた恋愛では、突然恋人に裏切られ、傷ついている。そんな頃に彼が出会った女性ミッキーは、自己主張が強い32歳の女性。喧嘩っ早く、思ったことはすぐに口に出してしまう自己破壊的な質で、気が付いたら別れたボーイフレンドたちから恨まれている始末。アルコール依存性からも立ち直ろうと必死だが、嘘つきの性格が邪魔をする。2人とも一体自分の何が悪いのかまったくわからないまま、傷つき、そしてまた次の恋愛を求めてさまよう。 時に見栄を張り、時に恥を晒し、 ワクワクしたり、涙を流したり、歯を食いしばったり…。大人になりきれない30代前半の男女を描いた、切実なコメディドラマ。
・Netflixについて
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